昭和30年代の、家族みんなで迎える静かな正月がほのぼのと描かれている・・・【山椒読書論(649)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年1月2日号】
山椒読書論(649)
コミックス『三丁目の夕日[お正月]』(西岸良平著、小学館)には、昭和30年代の、家族みんなで迎える静かな正月が描かれている。西岸(さいがん)良平は、絵も台詞も説明も、ほのぼのとしていて、昭和20~30年代に子供時代を送った私のような者には、懐かしさが込み上げてくる、堪らない一冊だ。
「昭和30年代――。あの頃は、今のように贅沢はできなかったけれど、人々の間に温かな触れ合いがあった。今も目を閉じれば、あざやかに甦る、懐かしい思い出の町・・・、ここは夕日町三丁目」。
初詣、門松、おとそ、凧、お年玉――うん、うん、そういうこともあったよねと何度も頷いたり、思わず微笑みがこぼれたりと、冒頭から最終ページまで大忙しである。