榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

勉強が苦手な子でも、がんばれば一等賞がもらえた昔の運動会・・・【山椒読書論(711)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年6月21日号】 山椒読書論(711)

コミックス『三丁目の夕日[運動会]』(西岸良平著、小学館)に収められている「運動会」は、こんなストーリーである。

夕日小学校4年3組の北島サブは、秋の運動会の100m、400m、800m、障害物競争、リレーにクラス代表として出場する。「勉強は全然ダメ、他に何のとりえもないおいらだけど・・・速く走ることにかけては誰にも負けない自信があるんだ。去年も、おととしも、ダントツの一等賞で・・・賞品もガッポリ。大学ノート9冊に、ジスマークつき鉛筆3ダース。ノートや鉛筆の余ったのは、クラスで売って大もうけだったもんなあ。観衆の歓声と勝利者の栄光、そしてお金・・・運動会こそ、おいらがヒーローになれる唯一の晴れ舞台なんだ。かんばるぞ――っ!」。

「サブちゃんは(800m徒競走で転んで)足をケガしたけど、残りの3種目もすべて一等賞だった。勉強が苦手な子でも、がんばれば一等賞がもらえた昔の運動会・・・最近の小学校の運動会はみんな平等ということで、一等賞がなくなったと聞くと、なぜか寂しい気もするのである」。西岸良平に共感頻りの私。