榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

長らく医薬品業界で仕事をしてきたが、もっと早く、この本に出会いたかった・・・【山椒読書論(680)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年3月11日号】 山椒読書論(680)

管理栄養士のためのイラスト解剖生理学』(開道貴信著、講談社)は、管理栄養士を目指す人たちのためのテクストであるが、豊富なイラストが理解を助けてくれるので、人体の仕組みに興味がある一般の人々にも大変勉強になる。

Step1では小学校で習う内容、Step2では中学、高校で習う内容、Step3では管理栄養士国家試験に合格できるレヴェルの内容が、箇条書きで学べるように工夫されている。

例えば、細胞についてのStep1は、こうなっている。
①細胞は、私たちのからだをつくっている、最小の単位です。
②細胞は、小さな部屋のようなものです。
③細胞には、たくさんの種類があります。
④細胞のつくりには、共通点があります。
⑤1個の細胞には、ふつうは1個の核があります。
⑥核の中には、遺伝子が含まれています。
⑦核の周りには、水やタンパク質などを含む細胞質があります。
⑧細胞は、細胞膜で包まれています。

Step2は、こうだ。
①私たちのからだは、顕微鏡で観察すると、無数の小さな部屋でできていることがわかります。この一つ一つの部屋を細胞といいます。
②細胞は、からだをつくる単位となります。
③細胞の形は、球形、星形、らせん状などさまざまなものがあります。
④細胞の大きさは、ふつう10~50μmで、肉眼では見えません。
⑤細胞は核と細胞質からできていて、細胞膜で包まれています。
⑥ふつう、1個の細胞には1個の核があります。
⑦核は、生命活動を調整します。
⑧核の中には、球形の核小体と、糸状の染色質を含んでいます。
⑨細胞質では、いろいろな化学反応が起こります。
⑩細胞質は、特殊なはたらきをするさまざまな細胞小器官を含んでいます。
⑪ミトコンドリアは、球形もしくは棒状で、酸素をつかってエネルギーをつくる細胞小器官です。
⑫ミトコンドリアは、細胞での呼吸の場です。
⑬リボソームは、タンパク質を合成する細胞小器官です。
⑭ゴルジ体(ゴルジ装置)は、合成された物質を濃縮したり分泌したりする細胞小器官です。
⑮中心体は、細胞分裂のときにコピーした遺伝子を両端に引き寄せる起点となる細胞小器官です。

そして、Step3では、「人体の階層とは」、「細胞とは」、「細胞膜とは」、「核とは」、「ミトコンドリアとは」、「リボソームとは」・・・と、簡にして要を得た説明が箇条書きでなされている。

長らく医薬品業界で仕事をしてきたが、もっと早く、この本に出会いたかったと思うこと頻りである。