榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

驚きが途切れない、珍奇な新種生物の図鑑・・・【情熱的読書人間のないしょ話(122)】

【amazon 『新種の冒険』 カスタマーレビュー 2015年7月18日】 情熱的読書人間のないしょ話(122)

東京・上野の東京国立博物館で久隅守景の「納涼図」屏風(縦149cm、横165cm)の実物を目の当たりにした時は、自分も淡墨で描かれた画中に融け込んだような錯覚に陥ってしまいました。おぼろな月に照らされる夕顔棚の下にむしろを敷き、夫は襦袢、妻は腰巻だけという恰好でくつろいでいます。夫の後ろには片肌脱いだ子供が寄り添っています。このように真夏の納涼を楽しめたら、最高でしょうね。

ひょうたん

閑話休題、『新種の冒険――びっくり生きもの100種の図鑑』(クエンティン・ウィーラー、サラ・ペナク著、西尾香苗訳、朝日新聞出版)では、驚くべき100の新種が紹介されています。

最後のページまでびっくりの連続ですが、敢えて、私が選んだベスト・テンは、このようになりました。第1位:脳なのか泥なのかわからない生きもの――レティクラムミナ・ケレブレフォルミス」(有孔虫<石灰質の殻などを持つ原生生物>)、第2位:ダーウィンも見逃したイグアナ――コノロプス・マルタエ」、第3位:鳴き声で新種とわかったフクロウ――グラウキディウム・ムーアオルム」(5.1cmと小さく、5gと軽い)、第4位:葉の茂った森の中で姿を消す半透明のカエル――コクラネッラ・マッチェ」、第5位:指先に乗っかる極小カメレオン」、第6位:アリをゾンビにして操る菌――オフィオコルジケプス・カムポノティールフィペディス」、第7位:年に数日しか地上に姿を現さないカエル――ナシカバトラクス・サヒャドレンシス」、第8位:サイケデリックな模様のアンコウ――ヒスティオフリュネ・プシュケデリカ」、第9位:黒地に黄色、赤い斑点の艶やかなヘビ――リオピディウム・パットニ」、第10位:鮮やかな玉虫色に光るハチ――エウグロッサ・パイサ」。

本書に見入ることで暑さを忘れるというのも、納涼の一法かもしれませんね。