この一冊で34人の「歴史の知恵」と「現代の知恵」が学べる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(123)】
『結果を出すリーダーが知っている歴史人物の知恵』を読んだら、「日経ベンチャー1986年4月号」の「特集:日本のトップセールスマン500人」に選ばれたことを思い出しました。医薬品部門での選出で、「手帳とアラーム時計を小さな『秘書』に――榎戸誠(41歳) 三共東京第一支店学術三課次長 年間販売額=3億4500万円」という記事ですが、添えられている写真の黒々とした髪に懐かしさがこみ上げてきました(笑)。
『結果を出すリーダーが知っている歴史人物の知恵』(NHK「先人たちの底力 知恵泉<ちえいず>」番組制作班著、朝日新聞出版」は、ユニークな発想から出発しています。「歴史の知恵」と「現代の知恵」が響き合う仕掛けになっているのです。
私の心に突き刺さった知恵は、下記のとおりです。
●「未経験者で最強のチームを作るには?(人材活用術)」――武田信玄の知恵「やる気がある者を正社員として採用する」。
●「『くすぶる人材』を開花させるには?(人材活用術)」――平井伯昌の知恵「短所もやり方次第では長所に変わる」。
●「大切なのは『情報』ではなく、『諜報』である(交渉術)」――松本晃の知恵「準備八割、実行二割」。
●「『執念ある者』たちで集まれ(既得権の打ち破り方)」――長谷川等伯の知恵「相手の特技を徹底的に研究する」、「得意な技で活路を開く」、松井道夫の知恵「自分がコントロールできないものとは戦わない」。
●「ストーリーとしてのブランディング(戦略の立て方)」――小山薫堂の知恵「すでにあるモノを組み合わせてみる」、「見せ方を変えればストーリーが生まれる」。
●「一人一人が主役にならなければ危機は突破できない(ピンチ脱出術)」――直江兼続の知恵「上に立つ者は、部下よりも多く痛みを引き受けねばならない」、「金はなくても人さえいれば何とかなる」、小菅正夫の知恵「みんなが主役にならなければ、ピンチは切り抜けられない」、「マイナスも見方を変えればプラスになる」。
●「危機においてこそ、リーダーは決断力を問われる(ピンチ脱出術)」――丹羽宇一郎の知恵「悲観的に考え、楽観的に行動する」、「人は仕事で磨かれ、人は読書で磨かれ、人は人で磨かれる」。
●「個性を見抜いて、個性を刺激する(若者の能力を引き出す)」――夏目漱石の知恵「褒めて、ハードルを課して、成功後の姿を示す」、「挫折を力に変えさせる」。
●「挑戦した結果の失敗には、セカンドチャンスを与える(若者の能力を引き出す)】――藤田晉の知恵「人は任せて伸ばす」、「自分を変えることに慣れさせる」。
●「上司のタイプを四つに分析する(上司との付き合い方)」――徳川家康の知恵「敵であっても優れた技なら、それを盗み、学ぶ」、伊東潤の知恵「嫌いな上司からも学ぶ」。
●「『私心』に惑わないようにする(こじれた人間関係解消法)」――田中健一の知恵「上司には、部下を不幸せにする権利はない」。
●「志さえあれば、人は何歳からでも成長できる(ミドルからの挑戦)」――伊能忠敬の知恵「家族の理解が挑戦を支える」、「技術は惜しまず伝授する」。
一冊でこれほどの歴史の知恵、現代の知恵が学べるとは、実にありがたいことです。