榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

テレビの中にレンタルビデオ店が出現――それがネットフリックスだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(263)】

【amazon 『ネットフリックスの時代』 カスタマーレビュー 2015年12月30日】 情熱的読書人間のないしょ話(263)

散策中、熟しに熟したカキの実にメジロ、ムクドリ、スズメたちが群がっているところに出くわしました。暫くシャッター・チャンスを狙っていると、先ずスズメがやって来て、次にメジロ、最後に警戒心の強いムクドリという順で登場することが分かりました。おかげで、3種ともカメラにバッチリ収めることができました。因みに、本日の歩数は10.757でした。

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閑話休題、最近、新聞記事でよく見かける「ネットフリックス」のことが気になっていたので、『ネットフリックスの時代――配信とスマホがテレビを変える』(西田宗千佳著、講談社現代新書)を手にしました。

ネットフリックスとは、何なのでしょうか。Netflix(ネットフリックス)とは「世界最大の映像配信事業者であり、2015年7月の段階で、全世界50ヵ国で6500万人のユーザーを抱える巨大企業だ。ビジネスの中心であるアメリカでは、プライムタイム(ゴールデンタイム)の場合、インターネットを流れるデータ全体の30パーセントから35パーセントが、ネットフリックスの映像を流すためだけに使われている状態であり、メジャーなテレビ局1社と比較しても、同等以上の『視聴者専有率』を誇る。それだけの大きなサービスが日本へ上陸するとなると、どの事業者も相応の警戒心を持つのは当然と言える」。

ネットで映像・音楽を楽しむことが日常化した国と、そうでない国とでは、どこがどう違うのでしょうか。「ネットフリックスに代表される、月額固定の料金による、見放題型の映像配信サービス『サブスクリプション型ビデオ・オン・デマンド』、通称SVODを切り口に、映像の見方の変化が、我々の生活にもたらす影響」が考察されています。本書を読み解くキーワードは、「見放題」と「イッキ(一気)見」に象徴される新しいライフ・スタイルです。

アメリカにおけるネットフリックスの現状を見てみましょう。「アメリカで販売されるテレビの多くには、『ネットフリックス』ボタンがある。衛星放送を見るときのように『ネットフリックス』ボタンを押せば、視聴がはじまる。・・・支持されたのは、操作のシンプルさだけが理由ではない。支払い方法も恐ろしくシンプルだ。ネットフリックスの支払いは月額固定制。アメリカの場合、最低7.99ドルですべての映像が見放題になる。何本、何回見ても追加料金は発生しない。・・・テレビのなかにレンタルビデオ店が現れたような存在。それがネットフリックスだ」。

それでは、日本にも一気にネットフリックス時代が訪れるのでしょうか。「SVODは、日本においてはまだまだ小さな産業だ。どの事業者も『他社から顧客を取り合う段階に達していない』という点で意見が一致している。・・・日本での需要がそこ(アメリカ並み)まで伸びるには、まだ随分時間がかかるだろう」。しかし、素人の私には、日本でも一気にSVOD時代が到来しそうな予感がしています。

「見放題」と「イッキ見」が当たり前になると、それに応じてコンテンツも変わらざるを得なくなると、著者が結論づけています。「SVOD事業者にとっては、いかに(魅力的な)『オリジナルコンテンツを集めるか』が重要、という結論に至る」。いかに魅力的なコンテンツを創出し、そこから収益を得て、それをさらなるコンテンツ開発に投入していくという高次元の競争が始まっているのです。