榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

自宅の庭の四季の変化を写し撮った写真集だが、文章も素晴らしい・・・【情熱的読書人間のないしょ話(304)】

【amazon 『小さな庭で季節の花あそび』 カスタマーレビュー 2016年2月20日】 情熱的読書人間のないしょ話(304)

年下の友人と情報交換を行った東京・新宿の東京都庁第一本庁舎北棟45階の展望レストランの外には、明かりがきらめく都会の夜景が広がっていました。因みに、本日の歩数は13,302でした。

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閑話休題、『小さな庭で季節の花あそび』(前田満見著、日本インテグレート)は、著者の自宅の庭の四季の変化を写し撮った美しい写真集ですが、添えられている文章も素晴らしく、その瑞々しさに心が洗われるようです。

「春待つ庭で」には、こういう一節があります。「落葉した雑木は、葉を落とすことでむきだしになった幹のたくましさが強調され、葉に覆われていた姿とは違った雑木本来の力強さを見せてくれます。それとは反対に、細い枝の重なり合う繊細な美しさにはっとさせられます。また、柔らかな陽光を浴びてテラスにその姿を映し出す日だまりの美しさに、しばし見とれてしまうことも」。

「樹の枝にミカンやリンゴを刺したり、エサ箱の中にクルミやパンくずを入れておくと、ヒヨドリやメジロ、シジュウカラ、ウグイスがやってきます、メジロは必ず仲良くご夫婦で、シジュウカラは御一行様でやってきます。初めのうちは、辺りを警戒しながら遠慮がちにエサをついばんでいる彼らですが、安心すると一心不乱。そんな姿を部屋の中からこっそり眺めるのはとても楽しく、彼らの健気で愛らしい仕草に心癒されます」。我が家の庭にも、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、スズメ、キジバトなどはやって来ますが、ウグイスも訪れるとは羨ましい限りです。

「うっすらと朝霜の降りた1月下旬。庭に春の息吹を運んでくれるスノードロップが咲き始めました。別名『待雪草(まつゆきそう)』。『雪の花』といわれるこの花は、その名の通り雪のように白く、うつむき加減に咲く姿はまるで妖精のよう。そっと顔を近づけてみると、花びらからこぼれ落ちそうな霜の雫。凍りつきそうな寒さにじっと堪えています。思わず人差し指で触れると、チリンチリンと微かな春の足音も聞こえてきます。春を心待ちにしているガードナーにとって、スノードロップは特別な花。こんなに愛おしくて、再会に胸ときめく花は、他にはないかもしれません」。

このように、冬から早春へ、春から初夏へ、盛夏へ、そして秋へ、再び冬へと、季節の移り変わりが、臨場感溢れる鮮明な写真と心温まる筆致で綴られていきます。

「家はシンプルでよい。庭も小さくてよい」という「家づくりと庭づくりの幸せの法則」が貫かれている、折に触れて読み返したい一冊です。