スケッチ満載――円空仏を訪ねる旅・・・【情熱的読書人間のないしょ話(320)】
【amazon 『円空を旅する』 カスタマーレビュー 2016年3月14日】
情熱的読書人間のないしょ話(320)
我が家の庭の片隅でサクラソウが明るい紫色の花を咲かせています。散策中に、赤、白、桃色のツバキを見つけました。白いジンチョウゲは気品がありますね。因みに、本日の歩数は13,261でした。
閑話休題、遊行僧・円空と円空仏のことを知りたいと思っていたので、これ幸いと、『円空を旅する』(井上雄彦著、美術出版社)を手にしました。
漫画家の井上雄彦が、岐阜、青森、北海道、愛知、滋賀、三重と、円空が刻んだ味わいのある木彫りの仏像を訪ね歩いた旅の記録です。井上の円空仏のスケッチが多数収載されています。「なんともいえない表情。いろんな人たちに撫でられてたくさんの思いをまとっているようです」。「円空さんは自然への信頼感をもって、仏像の形式や権威を取っ払って、いちばん大切なものをかたちにして示している」。「技巧へのこだわりや、うまく描こうという気持ちをなくしたときに、あの笑顔がつくれる」。「やさしさと慈悲にあふれていて下から見上げると見守られている感じがする。いつまでも見ていたい」。
「円空は江戸時代初期の僧。美濃国、現在の岐阜県で生まれ、若い頃から富士山や白山などで山岳修行に励み、32歳になって仏像を彫りはじめた。病や災害に苦しむ人々を救済するために東海や近畿、関東、東北、北海道などを行脚しながら、生涯で12万体もの仏像をつくることを発願したといわれている。晩年には飛騨高山に滞在して彫り続け、やがて64年の生涯を終えた。『円空仏』といえば、素朴で荒々しい造形。鉈や鑿で勢いよくかたちを彫り出し、装飾や色彩、漆塗を施すことなく木の素材感をむき出しにしているのが特徴だ。穏やかな微笑みを浮かべたお顔も、円空仏ならではの魅力である」。
心の底まで癒やされる一冊です。