榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

末期がんと宣告された男は、死ぬ前に会っておきたい3人を訪ねる旅に出た・・・【情熱的読書人間のないしょ話(336)】

【amazon 『黄昏流星群(8)』 カスタマーレビュー 2016年3月29日】 情熱的読書人間のないしょ話(336)

散策中に通りかかった幼稚園のフェンスには、何枚ものかわいらしい絵が飾られています。

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閑話休題、コミックス『黄昏流星群(8)――七夕七年会』(弘兼憲史著、小学館)に収められている「我が星の果てるまで」の主人公は、死を目前にした男です。

60歳を超えた中小企業の社長・佐竹は、医師から末期の胃がんと告知されてしまいます。「あと半年か。残り少ない時間を無駄には過ごしたくない・・・。というより、思い切り好きなことをしよう。仕事ひと筋で生きてきた俺だ。それくらいのわがままは、許されるだろう」。

「俺は旅に出る。しかし、決して気ままなドライブ旅行じゃない。ちゃんと目的があるんだ。死ぬ前に会っておきたい人物が3人いる。その3人を訪ねて行くんだ。1人は、俺が少年時代を過ごした山口県の高校の恩師だ。まだ70歳でお元気だと聞いた。そして、もう1人は大学時代の級友だ。手紙だけのやりとりで、会うのは40年ぶりになるだろうか。そして3人目は高校時代のマドンナ、鷹取美智子。俺の初恋の相手だが片思いだった・・・。向こうは俺のことを知らないだろう。今は嫁いで九州の方にいると聞いたが、とにかく捜してみる」。

漸く尋ね当てた美智子は、鹿児島の小さな町の駅前で小料理屋を開いていました。二人は車で温泉巡りをすることになります。

死が間近に迫っている人間は、残された期間をどう生きるべきか――を考えさせられる一篇です。