榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『飢餓海峡』は小説も映画も素晴らしい・・・【情熱的読書人間のないしょ話(360)】

【amazon DVD『飢餓海峡』 カスタマーレビュー 2016年4月22日】 情熱的読書人間のないしょ話(360)

散策中に、笑っている横顔のように見える植木を見つけました。最近、散歩会で学んだ民間信仰の庚申塔に興味が出てきたのですが、我が家の近くにも、天明7(1787)年の銘のある庚申塔(青面<しょうめん>金剛像)があることに気づきました。因みに、本日の歩数は10,325でした。

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閑話休題、長篇小説『飢餓海峡』(水上勉著、新潮文庫、上・下巻)を読んで、これぞ日本文学の最高峰と感激した延長線上で、映画『飢餓海峡』(DVD『飢餓海峡』<内田吐夢監督、三国連太郎・左幸子・伴淳三郎・高倉健出演、TOEI>)を見ました。

小さな異同はありますが、原作にかなり忠実に映画化されています。原作者の水上勉が映画『飢餓海峡』を高く評価しているだけあって、内田吐夢の監督力と三国連太郎を初めとする俳優陣の演技力が相俟って重厚な作品に仕上がっており、原作者の思いが的確に伝わってきます。

優れた小説が映画化された場合、がっかりするケースが多いのですが、本映画は例外的な成功作と言えましょう。敗戦後の東京下町の混乱や喧騒の雰囲気がモノクロ画面によって臨場感豊かに表現されています。

個人的には、『飢餓海峡』は長篇小説を読んだ上で、映画も見てほしいのですが、文庫版の上・下巻合わせて850ページはどうもという向きには、映画だけでも見てもらいたいですね。もっとも映画も183分とかなりの長さですが。