榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

絶滅したマンモスを甦らせるために必要な9つのステップ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(373)】

【amazon 『マンモスのつくりかた』 カスタマーレビュー 2016年5月4日】 情熱的読書人間のないしょ話(373)

朝刊を取りに出たら、玄関の前に子供のニホンヤモリがいました。写真を撮ろうとカメラを取りにいき、戻ってきたら、もう姿が見えませんでした。残念! 散策中に、マツバギクが紫色の花を一斉に咲かせているのを見つけました。ピラカンサ(トキワサンザシ)が白い花を付けています。白色のモッコウバラも、淡黄色のモッコウバラと同じ香りがします。鯉幟には、子の健やかな成長を願う親の気持ちが籠もっているのでしょう。女房はちゃっかりとパン屋に寄り道しています。因みに、本日の歩数は11,853でした。

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閑話休題、『マンモスのつくりかた――絶滅生物がクローンでよみがえる』(ベス・シャピロ著、宇丹貴代実訳、筑摩書房)は、進化生物学者による現実主義的な「脱絶滅(de-extinction)」の解説書です。

著者が、空想的なアプローチを排し、現実主義に基づいていることは、次の文章からも明らかです。「2013年に、『脱絶滅』はあらたな科学の一分野となりました――少なくとも、『タイムズ』紙によればそうです。こうした高い位置づけとは裏腹に、「脱絶滅」の科学は何をめざすべきなのか、いまだ総意が得られていません。当初は明白に思えました。脱絶滅とは、クローニングによって、絶滅種とまったく同じ複製をよみがえらせることだ、と。けれども、絶滅して久しい種――リョコウバト、ドードー、マンモスなど――のクローンの作製は現実的ではありません。これらの種については、クローンの作製とはべつの手法で脱絶滅をめざすことになるでしょう。考えられるのは、絶滅種の形質や行動様式を遺伝子操作で現存種に組み入れるといったものです。そしてこの現存種を、絶滅種のかつての生息場所で繁栄できるよう適応させるのです。ただし、本物のマンモスやドードーやリョコウバトというわけはないので、はたしてこの結果に社会は好意的な反応を示してくれるでしょうか」。

この前提を踏まえ、脱絶滅の道路地図(ロードマップ)が示されています。「まずは、どんな種または、どんな特質をよみがえらせるべきか判断基準を論じ、次に、DNA配列から命ある生物体へと到達する回りくどく迷いやすい道に立ち寄って、最後に、創造した生物をひとたび野生環境に放ったときいかに個体群を管理するかを議論します。わたしの目標は、科学と空想科学小説を区別して脱絶滅を説明すること」。

著者は脱絶滅のステップをこう考えています。①種を選択する→②保存状態のよい標本を見つける→③クローンを作製する→④交配で戻す→⑤ゲノムを復元する→⑥ゲノムの一部を復元する→⑦さあ、クローンを作製しよう→⑧数を増やす→⑨野生環境に放つ――の9段階です。

巻末で、脱絶滅に踏み出すべきか、その影響のプラス、マイナスを考慮に入れた検討がなされています。

個人的には、この世を去る前に、マンモスの特質が組み込まれたアジアゾウが寒冷地帯で群れをなして動き回る光景をこの目で見られる日が来ることを念じています。