榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

昆虫の拡大写真と『ファーブル昆虫記』の抜粋が響き合う一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(431)】

【amazon 『ファーブル驚異の博物学図鑑』 カスタマーレビュー 2016年6月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(431)

散策中に、クロオオアリを見つけました。動きが速く、ぼけていない写真を撮るまでに20分もかかってしまいました。あちこちでアガパンサスが薄青色の花を咲かせています。アガパンサスにアキアカネが止まっています。黄色い花をたくさん付けたオシロイバナが芳香を漂わせています。白い花のムクゲは清潔感があります。因みに、本日の歩数は10,371でした。

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閑話休題、『ファーブル驚異の博物学図鑑』(イヴ・カンブフォール著、瀧下哉代・奥本大三郎訳、エクスナレッジ)は、昆虫の拡大写真と『ファーブル昆虫記』の抜粋が素晴らしいハーモニーを醸し出しています。

ジャン・アンリ・ファーブルは、「私はこの本(『ファーブル昆虫記』)を、本能とは何かという難問をいつの日か少しでも解いてみようとする学者や哲学者のために書いているのだが、それだけではなく、とりわけ若い人たちのために書くのだ。・・・この博物学を、若者たちが愛するようにしたいのだ」と語っています。

「ファーブルが狩りバチの習性を紹介した章は、スカラベの章と並んで『昆虫記』の中でも特に名高い。ダーウィンの自然選択説の誤りをファーブルが鋭く指摘している箇所もこれらの章にある。・・・ダーウィンが生きていたころに書かれたこの部分から、ファーブルとこの偉大なイギリス人科学者との対話を垣間見ることができる。ダーウィンがファーブルに宛て、さまざまな実験を依頼した手紙も残っている。こうして始まった二人の親交も、1882年のダーウィンの死をもって終わりを迎える。反論してくれる好敵手を失ったファーブルは、その後も進化論を厳しく批判しつづけていく」。

「ファーブルは早くも1855年に、彼の科学的業績のなかでも特に重要な、ゲンセイの複雑な変態について発見した。ゲンセイは甲虫の仲間で、野生のミツバチに寄生をする。ファーブルはゲンセイの幼虫が次々と姿を変える現象を『過変態』と名付け、のちに他の事例も見つけることになる」。

カオジロキリギリスが奏でる音楽に興味を掻き立てられたファーブルは、こう記しています。「左前翅の歯のついた弓を動かして、右前翅の摩擦脈を振動させるのである、そして鏡(のよう)にぴんと張られた薄い膜は、振動する枠の動きを伝えて震える共鳴器なのだ。人間の音楽にはたくさんの振動膜が使われているけれど、そのどれも直接叩く必要がある。人間の楽器造りよりもっと進んだキリギリスは、弓と太鼓とを組み合わせているのである」。

『ファーブル昆虫記』のエッセンスとファーブルの生涯を短時間で学びたいという向きには恰好の一冊です。