榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

太古の恐竜たちがダイナミックに飛び出してくる精密な仕掛け本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(448)】

【amazon 『恐竜時代』 カスタマーレビュー 2016年7月10日】 情熱的読書人間のないしょ話(448)

魑魅魍魎が蠢く政治の世界、参院選の投票を済ませ、書斎で恐竜の世界に浸りました。

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恐竜時代――エンサイクロペディア 太古の世界』(ロバート・サブダ、マシュー・ラインハート作、わくはじめ訳、大日本絵画)のページを開くと、次から次へと立体的な恐竜たちが迫ってきます。35体以上のポップアップの恐竜と50種以上の恐竜情報が盛り込まれた本書は、ダイナミックかつ精密な造形が特徴で、このような仕掛け本の決定版と高く評価されています。

「この6トンのトリケラトプスには、頬とえり飾りの骨に傷痕が残っていました。この傷はティラノサウルス(ティラノサウルス・レックス)のような狂暴な捕食恐竜から、仲間を助けるために戦い、撃退したことを物語ってくれます」。ページから起き上がってきたトリケラトプスには、ちゃんと生々しい傷がついています。

「ソーセージ型の卵をたくさん生んだ後、えり飾り頭をしたプロトケラトプスは、巣の卵をまもるためにとても狂暴になったようです。それを示すように、打ちくだかれた卵泥棒の頭蓋骨が卵の入った巣の上で、見つかりました。このことからプロトケラトプスの母親は、赤ちゃんをまもるために、飢えた卵泥棒だけでなく、だれも巣に近づけさせなかったことがわかります」。

「古生物学者達は、パラサウロロフスの、長く曲がったトサカの内側の、空気の通り道の役割を、まだ解明していません。しかし、ある古生物学者は、ハドロサウルス達がコミュニケーションの手段として、空洞のトサカで、霧笛のような音を吹き鳴らしていたのではないか、と想像しています」。

「集団で生活をしていた恐竜、マイアサウラのお母さんは、巣ごもりをして薄く砂でおおった卵を温め、さらに、生れたばかりで何もわからない赤ちゃんが成長して一人前になるまで、優しく見まもりました」。

「今まで発見された恐竜の中で、ブラキオサウルスは最も重い恐竜で、その体重は雄のゾウ9頭分もあると考えられていました。南アメリカで新しく発見されたアルゼンチノサウルスはさらに重く、記録をぬりかえる可能性があります。しかし、これからさらに多くのアルゼンチノサウルスの化石が発見されるまでは、最終結論ではありません」。

「1855年に発見された世界的に有名なアルカエオプテリクス(始祖鳥)は、ハトぐらいのサイズで恐竜の骨格を持ち、羽のある鳥の翼を持っていました。多くの恐竜学者にとっては、この羽のある生き物は、鳥と恐竜を結びつけるもの『ミッシング・リンク』です。中には、現代の鳥は恐竜であると信じる人もいます」。

主たる仕掛けとその周辺の仕掛けが相俟って、太古の恐竜の世界が生々しく再現されている、見応えのある一冊です。