榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

分類群毎に時代を追って生物の進化を眺めることができるイラスト集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(861)】

【amazon 『生命史図譜』 カスタマーレビュー 2017年8月27日】 情熱的読書人間のないしょ話(861)

千葉・松戸の江戸川河川敷での昆虫・コウモリ・星の観察会に参加しました。日没直前からは、それまで飛び回っていたツバメに代わりアブラコウモリが主役です。すぐ近くを数十匹のアブラコウモリが乱舞するのですが、残念ながら写真には不鮮明なシルエットしか写っていません。カンタンやアオマツムシの特徴的な鳴き声を聞くことができました。土星とヴェガを見ることができました。因みに、本日の歩数は12,138でした。

閑話休題、『生命史図譜』(土屋健著、群馬県立自然史博物館監修、技術評論社)の最大・最強の特質は、①その生物の特徴を的確に捉えたイラストと、②分類群――海綿動物、刺胞動物、棘皮動物、脊索動物、脊椎動物、腕足動物、軟体動物、鰓曳動物、有爪動物、節足動物、古虫動物、リニア状動物、リニア植物、ヒカゲノカズラ、シダ植物、前裸子植物、シダ種子植物、裸子植物、被子植物、ランゲオモルフ、分類不明――毎に時代を追って進化を眺めることができることの2つです。因みに、哺乳類は脊椎動物の中の単弓類の中の獣弓類の中に位置しています。

ロンギスクアマ(脊椎動物・爬虫類・双弓類。中生代三畳紀)のイラストには目を瞠ってしまいました。「後半身が発見されていない謎の爬虫類。背中に細長くて薄い鱗のような構造が並ぶが、それが何なのかもよくわかっていない」。

アルカエオプテリクス(脊椎動物・爬虫類・双弓類・主竜類・恐竜類・竜盤類・獣脚類・鳥類。中生代ジュラ紀)は、こう説明されています。「いわゆる『始祖鳥』。鳥類に似た獣脚類と鳥類の線引きは困難だが、『始祖鳥よりも進化的な獣脚類』を『鳥類』とよぶことが多い」。

モルガヌコドン(脊椎動物・単弓類・獣弓類・哺乳類? 中生代三畳紀~ジュラ紀)は、「最初期の哺乳類。キノドン類より進化したとされる『モルガヌコドン類』に分類される。厳密な哺乳類と認めず、『哺乳形類』というグループに分けることもある」と記されています。

ティラキヌス・キノケファルス(脊椎動物・単弓類・獣弓類・哺乳類・有袋類・フクロネコ類。新生代第四紀更新世~1936年)が、20世紀まで生存が確認されていたことに驚かされます。

とてもブタの仲間とは思えないアルカエオテリウム(脊椎動物・単弓類・獣弓類・哺乳類・真獣類・鯨偶蹄類・エンテロドン類。新生代古第三紀始新世~漸新世)にも驚かされました。「『巨大な殺し屋豚』『地獄から来た豚』の異名をもつ。四肢が長い」。

節足動物・アノマロカリス類は、アノマロカリス・カナデンシス(古生代カンブリア紀)を初め、7種も記載されています。

ヴェトゥリコラ(古生代カンブリア紀)は「古虫動物」とされていますが、この「古虫動物」という名称は、本書で初めて知りました。「『古虫動物』は少数の絶滅動物からなるグループで、ほかのグループとの分類的な位置関係は定まっていない」。

最新情報を盛り込んだコラム――「ティランノサウルス類進化の新たな手がかり? ティムルレンギア」、「『ルーシー』の死因は、樹木からの落下か?」、「史上初の『パーフェクトフラワー』(=花弁を持つ被子植物)」など――も勉強になります。