心がざわざわ、体がむずむずする、海の寄生生物の写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(474)】
散策中に、白いヒメシャクを見つけました。ガのヒメシャクの仲間は同定が難しいことで知られていますので、深入りしないことにしています(笑)。ツマグロヒョウモンが飛び回っています。フウセンカズラが風船状の実を付けています。エゴノキがたくさんの実をぶら下げています。ツバキの赤い実は、サザンカの実と異なり、つるつるしています。我が家のナツツバキが頭部が尖った実を付けています。因みに、本日の歩数は10,602でした。
閑話休題、私には昔から変な癖があります。動物の皮膚の奥に他の小さな動物が入り込んだり、棲み着いたりしている状態を想像すると、心がざわざわ、体がむずむずして落ち着かなくなるのです。こういう奇癖の持ち主は滅多にいないでしょうが、『海の寄生・共生生物図鑑――海を支える小さなモンスター』(星野修・齋藤暢宏著、長澤和也編著、築地書館)ほど、落ち着かない気分にさせられた本はありません。
私の心と体が一番ざわざわ、むずむずしたのは、イチモンジハゼに体長4mm(卵嚢含まず)の8個体ものホシノノカンザシが寄生している写真です。寄生性カイアシ類の重度寄生の典型例ですが、イチモンジハゼの頭部背面にホシノノカンザシが体前部を穿入させているため、外から見えるのは、ホシノノカンザシの楕円形の胴部とコイル状の卵嚢です。潜り込んだ透明感のある桃色のホシノノカンザシを多数ぶら下げたまま泳ぐイチモンジハゼは、何とも異様です。
このホシノノカンザシの「ホシノ」は、著者の一人、星野に献名されたものです。
「実は、カイアシ類の多くは浮遊生活を行う動物プランクトンである。カイアシ類という名前は、その脚が『かい(舟を漕ぐオール)』のような形をしていることに由来する。よく見ると、彼らはその脚を巧みに動かして泳いでいる。一般的には水中に浮遊する印象が強いものの、岩の小さな窪みに群れていたり、他の生物に寄り添ったりと、彼らの生活は多様である。海洋生態系で、魚類の餌となるカイアシ類の役割は大きく、沿岸ですくった海水1リットル中に数千個体が見つかることもあるという」。