早朝と、夕から夜にかけての奈良の魅力・・・【情熱的読書人間のないしょ話(593)】
東京・杉並の高井戸、西荻窪を巡る散歩会に参加しました。私の尊敬する松本清張が次々と傑作を生み出した自邸を見ることができ、大感激です。松林寺、慈宏寺、春日神社では、晩秋を味わうことができました。延宝6(1678)年(向かって左)、元禄9(1696)年の銘のある庚申塔が佇んでいます。天狗湯は懐かしい昔ながらの銭湯の雰囲気を漂わせています。今宵は下弦の月です。因みに、本日の歩数は17,385でした。
閑話休題、『奈良の朝歩き、宵遊び』(倉橋みどり著、淡交社)には、奈良の魅力、それも、未だ薄暗い早朝の静かな奈良、そして、落ち着いた夜の奈良の素晴らしさが写真と文章で紹介されています。
「『奈良は朝がいちばんすてき』。たしかにそう思う。まちじゅうの空気がどこもかしこも、まるで洗いたてのようにすがすがしいのだ」。
「万葉の時代に思いをはせて宇陀のかぎろひ」では、宇陀市の「かぎろひの丘万葉公園」での「かぎろひを観る会」が取り上げられています。「野に出て、万葉の昔に思いを馳せつつ、夜が明けていくのを待つひととき」は、きっと心に刻まれることでしょう。
「奈良町の一角、紀寺町にある宿で、築約100年の町家を改修した一軒家に泊まることができる」。こういう宿で過ごす一夜は、特別な夜になることでしょう。
「夕暮れがこれほど美しく、胸を締め付けるほど美しいものだと私に教えてくれた場所が、奈良にはいくつもある。・・・日が落ちてゆく。西の山の端をオレンジがかった赤に染めながら。季節や天候や雲の具合によって毎日違う色に変わってゆく空。写真を撮ることも忘れてしまうほどに心が釘付けになる」。
「華やかでかつ悲劇的な上宮王家の最期に思いをはせるには、群雲を染める(斑鳩の)夕焼けがよく似合う」。
本書のページを繰りながら、奈良を再訪したくなってしまいました。