世界的な右傾化に対する大前研一の警告・・・【情熱的読書人間のないしょ話(597)】
東京都心は54年ぶりの11月の初雪ということで、寒さが身に沁みました。聖路加国際大学の聖ルカ礼拝堂のステンドグラスを見た後、銀座まで歩き、来年用の手帳や年賀葉書を求めました。地元も雪景色です。雪を被ったカキの樹上でヒヨドリが鋭い鳴き声を発しています。我が家の多胡灯籠も雪化粧です。因みに、本日の歩数は13,319でした。
閑話休題、『大前研一 日本の論点2017~18』(大前研一著、プレジデント社)は、世界的な右傾化に警告を発しています。
「世界の右傾化の流れの中に、日本もどっぷりと填まっている。・・・第三次安倍内閣の顔ぶれを見ると、遠慮のない『右寄り』がよくわかる。閣僚のほとんどが日本会議の下部組織である『日本会議国会議員懇談会』のメンバーなのだ。もはや『お友達内閣』を通り越して『日本会議永田町支部』である」。「資本主義陣営も共産主義陣営も第三世界も空中分解して、もはや頼れるものは自分しかないとなれば、どうしても内向きになる。そして内向きに小さな秩序を求めようとすると、歴史やナショナリズムという軸足に行き着きやすい。『我が国』『我が民族』というアイデンティティに拠って立とうとするから、安倍首相は『美しい日本を取り戻す』と訴え、トランプ氏は『偉大なアメリカを取り戻す』と同じ歌詞の唱を叫んで拳を振り上げるのだ」。世界的な右傾化がなぜ起こっているのかが、明快に説明されています。
「今は世界のあらゆる国で『物言えば唇寒し』の状況が起きている。・・・言うべきことが言えない空気が充満している社会はやはり不健全だ。右の立場とか左の立場ということではなく、自分が何を知っていて、それに基づいてどう考えているかを表現するのは大切なことで、そういうインテリジェントな社会を取り戻さなければ、『いつか来た道』に再び足を踏み入れることになるだろう」。このように言うべきことを明言している大前研一は、尊敬に値します。
「セカンドライフは8万時間の自由時間がある」の章では、「50歳にできても、65歳にはできないことがたくさんある。『やりたいこと』がリタイア後に簡単にできると思ったら大間違いで、何の準備もしていなければ気力も体力もついてこないし、一緒に楽しむ仲間もすぐにはできない。だから、リタイア後にやりたいことがあったら、今すぐに始めるのが正解なのだ」と、アドヴァイスしています。私の経験に照らして、著者の主張に全面的に賛成です。