榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

原発事故が起きれば何もかも失う現実を、若い世代に伝えるための写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1447)】

【amazon 『福島の記憶』 カスタマーレビュー 2019年4月6日】 情熱的読書人間のないしょ話(1447)

セイヨウアブラナ(ナノハナ)とセイヨウカラシナは、よく似た黄色い花を咲かせるが、葉の付き方――セイヨウアブラナの葉は茎をぐるっと取り囲むように付いているが、セイヨウカラシナの葉は木の枝のように付いている――で見分けることができます。レッドロビンが赤い新葉を付けています。ベニバナトキワマンサクの花が咲いています。その若い葉は赤みを帯びているが、段々緑色に変化していきます。あちこちで、さまざまな色合いのチューリップが咲き競っています。我が家の庭の片隅では、原種(系)チューリップのライラックワンダーが咲き始めました。因みに、本日の歩数は10,210でした。

閑話休題、写真集『福島の記憶――3.11で止まった町』(飛田晋秀写真・文、旬報社)からは、大津波と原発事故に見舞われた福島の哀しみと、原発事故に対する怒りがひしひしと伝わってきます。

写真と、それに添えられたキャプションが、哀しみと怒りを雄弁に物語っています。

久之浜町で――
●大津波に飲み込まれ街が壊滅状態に(2011.6.22)
●地震、津波。復旧したいが原発のために避難し戻れない(2011.6.22)
●居間に車が入っている(2011.6.22)

楢葉町で――
●ガードレールが津波によってアメのように曲がってしまった(2012.9.24)

川内村で――
●原発事故で無人になってしまった村(2012.9.8)
●家も雑草で見えなくなってきている(2012.9.8)
●のどかな農村が放射能に汚染されてしまった(2017.6.27)
●除染した土壌が入ったフレコンバッグを家の周りに置かれている(2017.10.2)

都路町で――
●一時帰宅して片付けているが、放射線量は2.5マイクロシーベルトもある(2012.9.13)。この女性は2018年12月8日に亡くなられました。ご冥福をお祈り致します。

葛尾村で――
●地震の影響は少なかったが、原発事故で全村避難した(2012.8.25)

富岡町で――
●除染しても驚くほどの線量。10.2マイクロシーベルト(2017.9.21)

大熊町で――
●玄関前は放射線量が24マイクロシーベルトもある(2014.3.27)
●原発事故のために戻ることができなくなった町(2014.3.27)

双葉町で――
●「安全神話」で事故は絶対起きないと言っていた(2013.5.4)
●地震被害だけなら復興が進んだろう(2013.2.28)
●戻ることができなくなってしまった原発事故の恐怖(2013.2.28)
●原発事故は絶対に起きないと言われ信じていたが、事故は起きた。騙された(2016.7.22)
●息子に譲って農業をすることにしていたが、原発事故で家族はバラバラになった(2016.7.22)

浪江町で――
●避難解除になったが人がいない(2017.10.26)
●除染した土壌がありとあらゆる所に置かれている(2017.4.30)
●請戸小学校正門。津波で犠牲者は出なかったが、原発事故のせいで生徒は全国各地に避難をしていった(2016.6.23)
●開通した国道114号線の線量は51マイクロシーベルトと非常に高い(2017.10.26)

南相馬市で――
●賑わっていた町が原発事故による避難で、ゴーストタウンになってしまった(2014.9.4)
●一向に下がらない放射線量。92マイクロシーベルトと驚くほどの高さ(2016.5.19)

飯舘村で――
●原発事故による避難で、人がいない村になってしまった(2012.9.18)
●警備員に言われて測ったらなんと103マイクロシーベルト。驚くばかり(2012.9.18)

「原発は事故を絶対起こさないと言われ信じていた。『安全神話』に騙されてしまった。しかし原発事故は起きた。未曽有に人災、目に見えない放射能からの避難。原発事故のために避難先から1時間半もかけて片付けに来なくてはならない、原発さえなかったらこんな思いしなくてすんだのに、戻ることができるのか。・・・震災・原発放射能汚染によって家族も離れ離れになり、仕事、田畑も奪われ、大地にもう二度と戻ることができないかもしれない。安倍首相は『アンダー・コントロール』とか『被災者に寄り添う』とか言うが、実際は、被災者を切り捨て、箱物ばかりの『復興』が先走る。このままでよいのだろうか。・・・原発事故が起きれば何もかも失う現実を、若い世代に伝え継承していかなければならない」。

心に深く沁みる写真集です。