榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

図書館大好き人間の私は、著者の見解に何度も大きく頷いてしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2208)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年4月30日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2208)

コジュケイ(写真1)に出くわしました。足早に去っていく2羽のうちの1羽を辛うじてカメラに収めました。シオカラトンボの雌(ムギワラトンボ。写真2)が飛び交っています。ネモフィラ(写真3、4)、キショウブ(写真5、6)、フジ(写真7、8)が咲いています。我が家の庭では、ボンザマーガレット(写真9)が咲き始めました。因みに、本日の歩数は17,211でした。

閑話休題、『未来の図書館のために』(前川恒雄著、夏葉社)は、東京・日野市立図書館などで図書館改革に尽くした前川恒雄の論考と自叙伝で構成されています。図書館大好き人間の私は、著者の見解に何度も大きく頷いてしまいました。

●公立図書館は開架式、貸出し中心で
「1965年、日野市立図書館が発足した当時の日本の図書館はどのような状況だっただろうか。図書館数、一館あたり職員数、図書費などが少ないのは当然として、サービスの中身が現代とはまるで違っていた。図書館に入ると入館票に住所、氏名、年齢、性別などを書かされ、開架図書は少なく、児童書のない図書館は普通で、あっても申し訳程度であった。利用は館内閲覧が主で、貸出しには貸出利用願を提出し、館によっては保証人が必要だったり、保証金を納めさせたりした」。
著者らの粘り強い運動によって、現代のような開架式、貸出し中心の公立図書館が定着したのです。

●武雄市図書館の問題点
「.武雄市立図書館が全国にその名を馳せ、見学者が絶えなかった頃、安倍首相は『武雄の図書館はアベノミクスの象徴だ』と演説したそうです。しばらくして、武雄図書館の実態が明らかになり、市民のための図書館ではなく、企業のための図書館であることがはっきりし、続けて、幾つもの委託された図書館が如何にお粗末な運営をしているかが、明らかになりました。特に田井郁久雄さんの綿密な調査と分析は、全く反論の余地のない指定管理者制度批判となっています。滋賀県では、多くの市民の、困難の中でのねばり強い運動によって、委託された図書館は今のところ一つもありません。この状況が維持され、全国にその影響が波及することが、滋賀の図書館を考える会の、一つの大きな役割になっています。一人の図書館人として感謝に堪えません」。

●マイナンバーカードの図書館への導入――その危険性について
「無茶な理由を挙げて、マイナンバーカードを図書館に導入し、クラウドシステムに貸出履歴を集約しようとする本当の理由は何でしょう。私には衣の下に鎧が透けて見えます。国民の図書館利用を監視するためではないでしょうか。全部の貸出データを見る必要はありません。ある本のデータを取出し誰が借りたかを見る。また。ある人のデータを取出しどんな本を借りたかを見ればいいのです。私は司書としての教養の一環として、左の本も右の本も読みました。マイナンバーでこんな本を借りると、私はこういう本を読んでいる怪しい男としてどこかにリストアップされるのではないでしょうか。すべての自治体・図書館は、マイナンバーの図書館への導入を拒否して、今までどおりの貸出方式を守ってください。すべての利用者は、図書館の窓口で、マイナンバーを導入するのなら図書館の利用はできなくなると言って下さい」。