榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

初心者・初級者にも使い易い歳時記・・・【情熱的読書人間のないしょ話(658)】

【amazon 『いちばんわかりやすい 俳句歳時記』 カスタマーレビュー 2017年1月30日】 情熱的読書人間のないしょ話(658)

女房が二人きりのささやかな誕生祝いの席を設けてくれました。アルコールを嗜まない女房は、猪口一杯だけなのに頬を桃色に染めています。そこで、一句、「梅香り 妻もほんのり 祝い酒」。

「香り」の「り」、「ほんのり」の「り」と、脚韻を踏んでいると悦に入っていたのですが、帰宅してから、念のため、『いちばんわかりやすい 俳句歳時記(増補版』(辻桃子・安部元気著、主婦の友社)で確認したところ、「梅」は春(立春<2月4日頃>~立夏<5月6日頃>の前日)の季語とされているではありませんか。

これはいかんと、「冬・植物」で探したところ、「寒梅」が見つかりました。例句として、「寒梅に御前角力の稽古かな 几菫」が載っています。そこで、「寒梅に 妻もほんのり 祝い酒」と改めました。

本書は、8000の季語、7700の例句が収録されているだけでなく、季語の分かり易い説明も付されているので、私たち初心者・初級者にも使い易い歳時記です。