榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

縄文時代の女性の土偶は、何でこんなにセクシーなんだろう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(672)】

【amazon 『よきめく縄文図鑑』 カスタマーレビュー 2017年2月15日】 情熱的読書人間のないしょ話(672)

腎臓専門医のK先生と思い出話に花を咲かせた後、ウメの甘い香りに誘われて、あちこち歩き回りました。因みに、本日の歩数は10,931でした。

閑話休題、『ときめく縄文図鑑』(譽田亜紀子著、新津健監修、山と溪谷社)には、著者の縄文時代に対する愛情が籠もっています。

縄文時代の魅力として、ユーモア、エネルギー(情熱)、繊細な心――が挙げられています。

本書では、土偶、土器、その他の道具が網羅されていますが、私にとって一番興味深いのは、人間臭い土偶です。

「縄文のビーナス」は、くびれたウェストと左右に張り出した大きなヒップが何ともセクシーな土偶です。「ハート形の顔にちょんと上を向いた小さな鼻と吊り上がった目。そして小振りな乳房に、下垂し膨らんだお腹。これは身ごもった女性の姿を表しているといわれます。女性としてのセクシーさと母としての母性をあわせもった土偶はそうそうありません」。

「縄文の女神」は、現代の芸術作品かと見紛うような、すらっとした土偶です。「角柱状に作られた脚は横から見ると台形に広がっており、その上に絶妙なバランスで板状の上半身がのせられています」。遠い縄文時代にこういう土偶が作られていたとは驚きの一語です。

秋田県北秋田市で掘り出された、豊満な乳房がバーンと前にせり出した「土偶」は、目のやり場に困るほどの迫力です。

「みみずく土偶」は、目も口も鼻も耳(あるいは耳飾り?)も真ん丸な、思わず頬擦りしたくなるほど、かわいらしい土偶です。「この土偶を縄文人たちが楽しげに作っている姿が目に浮かんでくるようです」。

浮世の憂さを忘れさせてくれる一冊です。