ホロコースト犠牲者の国イスラエルが、なぜパレスチナ人を迫害するのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(791)】
今宵は、三共(現・第一三共)の大来邦夫課長(後に取締役)を慕う東京第一支店学術第三課時代の仲間が集いました。私にとって、部下の実力を最大限発揮させる大来課長のリーダーシップを学び、一騎当千の先輩、後輩たちから刺激を受けMR道に磨きをかけた疾風怒濤の4年間でした。因みに、本日の歩数は12,054でした。
イスラエル軍の戦車に石を投げるパレスチナの少年の写真は、パレスチナ問題の根深さを物語っています。
パレスチナ問題に関する疑問を抱いていましたが、『ぼくの村は壁で囲まれた――パレスチナに生きる子どもたち』(高橋真樹著、現代書館)のおかげで、理解を深めることができました。
●パレスチナで何が起こっているのか。
占領による見えにくい暴力を象徴する「検問所」「入植地」「分離壁」が詳しくリポートされています。「これらはひとつひとつでも問題ですが、複合的に重なることでパレスチナ人の生活をより過酷なものにしています。そしてイスラエル政府にとっては、土地をより効率的に奪うシステムとして機能してきました。検問所で人々の移動を制限し、入植地で土地を奪い、分離壁を建設して残った土地を併合するということが、各地で行われてきたのです」。
一方、占領地で生きるパレスチナの若い世代による、非暴力で社会を変えようとする活動も生まれているそうです。
●「ホロコースト犠牲者の国」イスラエルが、なぜパレスチナ人を迫害するのか。
「答えは、ホロコーストで犠牲になったユダヤ人と、イスラエルをつくったシオニストとは、別の存在だからです。問題は、その『ホロコースト犠牲者の国』というイメージをイスラエル政府が外交戦略として徹底的に利用し、自国への批判を封じたり、ドイツなどから多額の補償金を得てきたことにあります。・・・(イスラエルへの移住を進めた)シオニストの多くは、自らの権利を勝ち取るためには武装して戦うべきだと考える武闘派でした。そのためナチスに抵抗したユダヤ人を賞賛する一方で、大きな抵抗もせず、『おとなしく』強制収容所に送られていった人たちに対しては軽蔑のまなざしを向けました」。
●イスラエル国内の問題は何か。
対外的なパレスチナとの対立だけでなく、イスラエル国内でも分裂・対立――①ユダヤ人の中の宗教的な人と世俗的な人との分裂、②民族グループのルーツによる移民グループ間の分裂、③イスラエルの中のユダヤ人とパレスチナ人(イスラエル国籍)との分裂――という問題を抱えているというのです。
●米国は、なぜイスラエルを支持するのか。
強力なユダヤ・ロビーの存在と、これに対抗する動きが紹介されています。
●パレスチナ問題の解決に向けたポイントは何か。
①占領地からのイスラエル軍の撤退、②パレスチナ国家の樹立、③エルサレム問題、④難民問題――が論じられています。
著者の、「知らないことは罪ではありませんが、知ろうとしないことや、見て見ぬふりをすることには問題がある」という言葉が心を揺さぶる一冊です。