人々にあまり知られていないが、魅力十分な日本の庭がある・・・【情熱的読書人間のないしょ話(951)】
あちこちでハクセキレイを見かけました。スズメが樹上で群れています。ジョロウグモの雌の背面と腹面とでは、模様と色がこのように異なります。ナミハナアブがキクの花の蜜を吸っています。サザンカが白い花を咲かせています。ススキの穂が白く輝いています。チカラシバが薄紫色の穂を付けています。因みに、本日の歩数は10,719でした。ジョロウグモの雌を見かけました。背面と腹面とでは、こんなに模様と色が違います。
閑話休題、写真集『日本の秘庭』(ジョン・ランダー著、久松紀子訳、IBCパブリッシング)では、人々にあまり知られていないが、魅力十分な日本の庭が紹介されています。
「最も胸躍る大発見といえるのは、まだ知名度が低く、禅僧が静寂さを保ち、観光客を引き付けるものとしてではなく、自分たちのための存在としておくのを好んでいるように見える、宝石のような庭園だ。こうした未開拓な庭園の中には、訪れたらその場所を独占できるようなところがあるのは嬉しい知らせだ。観光バスも目に入ることなく、こうした庭園を訪れるのははるかに楽しい経験である。このような史跡を探し当てるのは、訪問というわくわくする体験に、もうひとつ別の要素も添えてくれる。予想外のものを発見する――それも、日本庭園を訪れる満足感の一部なのだ」。
私が育った家のすぐ近くの大田黒公園(東京都杉並区)が登場しているのには、驚きました。「大田黒元雄の邸宅の跡地にある。入り口から樹齢100年を経た大イチョウの並木が伸びており、秋には黄色いトンネルとなる。さらに奥へ入ると、廻遊式の通路、さまざまな橋、四阿(あずまや)が完備した池も備える。訪れるのにもっともよい季節は10月から11月上旬。東京都内の他の紅葉の名所と比べても、美しさはもとより、混雑の少ない公園といえる」。少年時代、公園となる前の大田黒邸の広い庭に破れた垣根から入り込んで遊び回ったことを懐かしく思い出します。
塩船観音寺(東京都青梅市)の丘を埋め尽くしたツツジの見事さには、目を瞠ってしまいました。「4月下旬と5月上旬に花開くつつじが特徴。15種、1万7,000本が植えられているつつじ園には、植栽設計やコンセプトに他園にはない特徴がみられ、丘状の園内を散策するだけではなく、つつじの中を自由に通り抜けられる」。早速、来年のスケジュール帳の4月下旬のページに「塩船観音寺 ツツジ」と書き込みました。
首都圏でも見事な竹林が見られることを、報国寺(鎌倉市)の庭の写真で知りました。「竹林が広がっていることから『竹の寺』とも呼ばれている報国寺の『竹の庭』には2,000本以上の孟宗竹が茂っており、驚くほどの高さに成長した竹もある。竹の庭の裏には茶席がしつらえられている。社殿本堂の裏側には枯山水が美しい別の庭園もある」。
法然院(京都市)は、京で私の一番好きな寺院です。「苔むした山門は年間を通じて公開されている」。
圓光寺(京都市)の本堂から眺める、庭一面の紅葉は圧巻です。「秋の紅葉の季節に多数のもみじが美しく映える『十牛の庭』が最も有名。本堂の入り口には枯山水の奔龍庭が広がる。十牛の庭には牛に見立てた石が配置され、百日紅やつつじ、牡丹と調和している」。
高桐院(京都市)の参道は、これぞ京都という風情を湛えています。「京都の秋を彩る場面として象徴的な存在である。参道と門が最も有名だろう。庭は、極限まで簡素さを重視している。色数の少ない樹木が立ち並び、苔が敷かれている」。
まだまだ知らない、魅力に富んだ庭があることを教えてくれる一冊です。