昭和を懐かしく思う大人向けの都心のガイドブック・・・【情熱的読書人間のないしょ話(115)】
A社の研修、IT専門家との打ち合わせ、外国債券の専門家との打ち合わせと、今日も刺激のある充実した一日でした。研修のテーマは「コーチング・部下育成術、上司操縦術」ですが、手作りチャート「仕事の任せ方の基本的な考え方」を説明した時は、思わず力が入ってしまいました。因みに、本日の歩数は18,098でした。
閑話休題、『大人の東京散歩――地下鉄で「昭和」の街をゆく』(鈴木伸子著、河出文庫)は、昭和を懐かしく思う大人向けの都心のガイドブックです。
「地下鉄で行く東京の街とは、すなわち都心のことだろう。東京で山手線の内側を移動しようと思うと地下鉄に乗るしかない。その地下鉄とほぼ同じルートを昭和30、40年代まで走っていたのが、都電の各路線。JRや私鉄ではなく、地下鉄で行く都心の街に、ちょっと懐かしい昭和の面影を見つけたくなるのは、そんな地下膣以前の、都電という交通網が東京の街に染み渡っているからかもしれない」。都電と聞いただけで、我々の世代は懐かしさがこみ上げてきます。
千駄木(千代田線)は、こんなふうに紹介されています。「『谷根千』と言われる、台東区谷中、文京区根津、千駄木にかけての地域が東京散歩の人気エリアとなって久しい。山手線の内側に戦災で焼け残った江戸期から続く街並みが残っているのが、この地域の味わい深いところ。一帯は本郷の東大や上野公園、東京藝大、寛永寺などにも近く、地域の住民には知と芸術に尊敬の念が染み渡っている。神田や浅草とはひと味違った東京の古くからの生活文化がこの地域には定着しているのだ。谷根千と一言で言っても、谷中は墓地と寺町、千駄木はお屋敷街、根津は庶民的な商店街という大まかな定義づけができる」。
人形町(日比谷線・都営浅草線)は、「人形町界隈には、芳町(よしちょう)という花街もある。なにしろ江戸初期には旧吉原がこのあたりにあったという遊興の街としての歴史があるところだ。裏町の路地や、有名な甘酒横丁をさまようと、今は無人の木造三階建ての商家や職人の技を今に伝える三味線屋、つづら屋などが点在していて江戸情緒を感じる。・・・人形町通りに面した大観音寺横になんとなく魅力的な路地があるので入っていくと、よし梅という江戸風な料理屋がある。近くには芸者新道と名付けられた小路。この路には、酒亭・きく家や、よし梅の別館芳町亭と、雰囲気のいい日本料理店が並んでいる。芳町亭の建物は、関東大震災後に建てられた日本家屋で登録有形文化財に指定されている」と、説明されています。以前、何度かこの芳町亭で食事をしたことがありますが、昭和初期の雰囲気を満喫することができました。
神楽坂(東西線)は、私が最近まで顧問を務めていた会社から歩いて5分ほどです。「通り沿いには毘沙門様があって、坂の両側の路地を入った一帯には料亭や見番など花柳界が広がっている。石畳の道や迷路のような路地には、料亭やバー、昔は待合だった建物を今風に改造した飲食店、料亭に仕出しをする寿司屋さんや焼き鳥屋さんなど、楽しそうな店がいろいろ」。
私がしょっちゅう訪れる神保町(半蔵門線・都営新宿線・都営三田線)は、どのように記されているのでしょう。「古書店街のメインストリートは靖国通り。立派な建物の一誠堂、そして大雲堂、田村書店、小宮山書店、八木書店、大屋書房などの老舗が並ぶ。そして神保町交差点からJR水道橋方面に続く白山通り、靖国通り裏のすずらん通り、裏神保町と呼ばれる駿河台下から明治大学周辺にもそれぞれに個性的な古書店が集まっている。・・・近ごろの学生さんは本を読まないというけれど、この都心の本の街で過ごす青春期は貴重だ。神保町はただいま、学生もサラリーマンも、古書マニアも混在する街となっている」。