榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

中国の「一人っ子政策」が、国民に与えた悪影響の数々・・・【情熱的読書人間のないしょ話(955)】

【amazon 『中国「絶望」家族』 カスタマーレビュー 2017年12月2日】 情熱的読書人間のないしょ話(955)

散策中、白い花を咲かせているペーパーホワイトを見つけました。ツワブキも頑張っています。因みに、本日の歩数は10,216でした。

閑話休題、『中国「絶望」家族――「一人っ子政策」は中国をどう変えたか』(メイ・フォン著、小谷まさ代訳、草思社)には、強い衝撃を受けました。

中国で35年間に亘り実施された「一人っ子政策」が、中国国民にどのような悪影響を与えたか、そして、これからも与え続けるかが、詳細にリポートされています。

一番驚いたのは、子供を持ちたいという人間本来の願望を踏みにじり、出産を厳しく制限して人口を抑制しようという政策が、専門家ではないロケット科学者によって立案されたという事実です。

いかにも中国らしいのは、この政策を徹底するために、「国家人口計画出産委員会」という名の「人口警察」の監視の網が張り巡らされことです。

この政策によって生じた副作用は、●強制的な精管切除、●強制的な妊娠中絶(妊娠後期の強制中絶という身の毛のよだつような事例も多い)、●政策の違反者に科せられる重い罰金、●政策に違反して生まれた第二子の存在(彼らは戸籍が許可されないため、「闇っ子」と呼ばれるが、1,300万人に上るという)、●親から過大な期待を寄せられ、親の老後の面倒を一人でみなければならない一人っ子世代の閉塞感、●男児を望むケースが多く、女児の間引きや強制中絶が行われた結果としての大幅な男性過剰による、結婚できない独身男性の増加、●一人っ子を亡くした「失独」夫婦の悲惨な老後、●腐敗した海外養子縁組マーケットの蔓延――など、枚挙に暇がありません。

短絡的な一つの政策が国民にどれだけ大きな災厄をもたらすのかという、無謀な社会実験の悲惨な結果を突きつけられて、目を覆いたくなりました。

最近、緩和される方向にあるようだが、戸口(戸籍)制度にも、怒りを禁じ得ません。「『戸口』とはいわば経済的アパルトヘイトともいうべきもので、最下層階級を土地に縛りつけ、都市部に人口が集中しすぎて制御不能になるのを防ぐための仕組みだ」。