榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

権力者が隠したいと思うことを明るみに出すのが、新聞記者の使命だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1046)】

【amazon 『新聞記者』 カスタマーレビュー 2018年3月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(1046)

ムクロジが実をたくさん付けています。実の中の種は、羽根突きの羽根の玉として使われます。薄桃色のウメは風情がありますね。ツバキも頑張っています。

閑話休題、『新聞記者』(望月衣塑子著、角川新書)には、果敢に権力者に挑み続ける東京新聞記者・望月衣塑子の思いが籠もっています。

「社会派を気取っているわけでも、自分が置かれた状況に舞いあがっているわけでもない。おかしいと思えば、納得できるまで何があろうととことん食い下がる。新聞記者として、警察や権力者が隠したいと思うことを明るみに出すことをテーマとしてきた。そのためには情熱をもって何度も何度も質問をぶつける。そんな当たり前のことをしたいと思う」。その気概や、よし。

本書の中に、私の敬愛するジャーナリスト・清水潔が登場します。「友人を介し、日本テレビで働くジャーナリストの清水潔さんと会う機会を得た。・・・清水さんには、新潮社の写真週刊誌『FOCUS』編集部で活躍していたときから畏敬の思いを抱いてきた。とくに1999年に発生した『桶川ストーカー殺人事件』では、埼玉県警よりも先に犯人を特定。さらには捜査を放置した県警の不祥事まで暴いた調査報道を目の当たりにしたときには、事件取材記者として雲の上にいる存在だと思わざるをえなかった。真実を追求していく手法や取材対象者の口説き方などは、到底真似できないと脱帽してしまう。何よりも事実をつかみ出してやる、という強い思いがあふれている」。

日本会議の正体に鋭く迫った菅野完も登場します。「いざ森友問題を取材しようにも勝手がわからない。当局が動いているわけではないから、事件取材のように警察や検察に夜討ち朝駆け取材をかけても意味がない。思案に暮れているときに、騒動の中心的な存在だった森友学園への取材をしていた横川圭希さんから、こんなアドバイスを受けた。『変に当局などにいくよりも、菅野さんをチェックしたほうがいいよ』。菅野さんとは、ベストセラーとなった新書『日本会議の研究』の著者で、それまでにも籠池氏とも親交のあった著述家の菅野完さんのことだ」。

「前川(喜平)さんや(伊藤)詩織さんがたった一人でも闘おうとし、社会的に抹殺されるかもしれないリスクと背中合わせで疑惑を告発している。2人の勇気をだまって見ているだけでいいのか。遠くで応援しているだけでいいのか。私にできることは何なのか――考え続けているなかで、目の前に浮かんできたのは安倍首相であり、菅官房長官だった。安倍首相は定期的な記者会見を開いていない。一方、政府のスポークスマンである官房長官の菅さんになら質問できる機会がある。記者だからこそ、疑問をぶつけられる――私のできることはこれしかない。胸中に熱い思いがこみ上げ、前に進む勇気がわいてきた」。

「森友問題にはじまり、前川さんの一件を含めた加計問題、そして詩織さんの問題の本質は何なのか。いま日本で何が起こっているのか。なぜありえないことがまかりとおっているのか。安倍政権のどこがどのようにおかしいのか。使命感をもってこれらを鋭く追及し、東京新聞の紙面を介して読者へ伝えていく日々は、もちろんこれからも変わらない」。望月記者、頑張れ!