榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

宮崎駿は絵を描き、鈴木敏夫は字を書くことになったのには、わけがある・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1095)】

【amazon 『人生は単なる空騒ぎ』 カスタマーレビュー 2018年4月21日】 情熱的読書人間のないしょ話(1095)

「やまびこ」で福島を訪れました。磐梯山、飯豊山は未だ雪をまとっています。茅葺き屋根の湯野上温泉駅には、ソメイヨシノが似合います。会津西街道の宿場町・大内宿では端午の節句を迎える準備が進められています。高台の子安観音堂からは、町並み全体を見渡すことができます。運よく、茅葺き屋根の葺き替えを目撃することができました。喜多方の旧国鉄日中線跡のシダレザクラ並木は満開です。因みに、本日の歩数は18,865でした。

閑話休題、『人生は単なる空騒ぎ――言葉の魔法』(鈴木敏夫著、KADOKAWA)は、ジブリスタジオの鈴木敏夫の書の本ですが、絵もちょっぴり収録されています。

「宮崎駿と出会ってから、もうすぐ40年。彼は76歳になり、ぼくは69歳になりました。この期におよんでも映画を作り続け、週に2回はふたりで話す時間を持っています。相変わらず机の上には紙があって、宮崎駿は絵を描き、ぼくは字を書く。絵が好きだったぼくが、絵を描けなくなったのは、彼との出会いがきっかけでした。でも、そのおかげで書と筆というものに辿り着くことができた。そういう意味でも、宮崎駿の存在はぼくの人生にとって大きかった。あらためて敬意を表したいと思います」。

「宮崎駿。まだ、映画より本人のほうが面白い」。

「人は言葉でモノを考える。言葉で考えを組み立てる。声に出すと、考えがさらに広がる。そして、自分の作った言葉に支配される。言葉はかく面白い」。

「ある日、少女が空から降ってきた」。映画『天空の城ラピュタ』のコピーです。

「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん」。映画『となりのトトロ』の糸井重里のコピーです。

「私は生きるために生まれて来たのに」。映画『かぐや姫の物語』の台詞です。

「人はいつも矛盾の中に生きている 人間への絶望と信頼 その狭間に人は生きている」。「『コクリコ坂から』の宣伝のために書いたコピーです。『人は』と書きましたが、じつは宮崎駿のことを言っています。両極端の言葉を並べて、そこから止揚されるものを探る――ある種の弁証法ですよね。高畑勲という監督はそれを徹底的にやった人です。その影響を受けてきた宮崎駿もそうでした。ぼくもその考え方はとてもよく理解できます」。