初期の地球は、ねばねばしたシアノバクテリアの膜に覆われた惑星だった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1209)】
ナツズイセン(ハダカユリ、リコリス・スクアミゲラ)が桃色の花を咲かせています。テッポウユリとタカサゴユリの花は非常によく似ていますが、テッポウユリが真っ白なのに対し、タカサゴユリは花弁の外側に赤紫色の筋が入っているので、見分けることができます。ハス、オクラ、ツユクサも頑張っています。因みに、本日の歩数は10,896でした。
閑話休題、『11の化石・生命誕生を語る[古生代]――化石が語る生命の歴史』(ドナルド・R・プロセロ著、江口あとか訳、築地書館)では、先カンブリア時代からペルム紀までの化石発見の歴史が扱われています。
1956年、西オーストラリア大学の地質学者ブライアン・W・ローガンらが西オーストラリア州の北岸で、ストロマトライト(層状の岩石)を発見します。「太古のストロマトライトと同じように、柱や塔はミリメートルサイズの堆積物の薄い層からできていた。頂部の表面にはこの謎めいた構造をつくりだす生命体がいた。それは藍色細菌(シアノバクテリア)のねばねばしたマットだった(かつては藻類ではないのに不正確に藍藻と呼ばれていた。藻類は真核細胞を持つ『植物』である)。シアノバクテリアは地球上でもっとも原始的で単純な生命体の一つであるだけではなく、おそらく地球上で初の光合成生物だ。シアノバクテリアが最初の地球大気の酸素をつくり、そのおかげで後により複雑な動物が進化することができたと多くの科学者が考えている」。
三葉虫が登場します。「すべての化石の中で、アマチュアの収集家とプロの古生物学者の両方にもっとも人気のある化石の一つが三葉虫だ。三葉虫は5億5000万~2億5000万年前まで存在し、その3億年間で5000属1万5000種以上に進化したが、すべてが絶滅した。・・・驚くほど複雑な形態、精巧な装飾、奇妙な眼、そして多くの風変わりな構造。驚くような特徴が見られるため、三葉虫は多くの化石収集家を惹きつけてやまない。・・・さらに重要なのは、三葉虫が地球で最初の殻を持つ大きな動物だったということである。・・・おそらくこれは、大気の酸素濃度がついに十分高くなり、殻の中で方解石を結晶化させることが可能になったからなのだろう」。
水から出た魚、すなわち両生類の起源が、興味深く説明されています。「1859年にダーウィンが『種の起源』を発表して以来、科学者たちはある重大な移行がどう起こったのかを示す化石を探してきた。つまり、どうやって魚が水から這い出て、陸生の生物になったのかを示す化石だ」。
ニール・シュービンとテッド・デシュラーは「上部デボン系の淡水の堆積物の中に、3億8000万~3億6300万年前のへだたりを埋める、(より両生類に近い)アカントステガよりも原始的だが(より魚類に近い)ユーステノプテロンよりも進化した移行化石があるはずだと予想していた。・・・2004年にはバード・クオリィの地表から3メートル掘ったところでティクターリクを発見した。それは今までの苦労がすべてふきとんでしまうような化石だった。・・・アカントステガよりも1200万年古い標本ということから期待される通り、ティクターリクはいろいろな意味においてさらに魚類に似ている。ティクターリクの肉質のひれは両生類の脚の原型となる要素をすべて持っていたが、指ではなく鰭条があった。魚のような鱗があり、鰓と肺の両方を兼ね備え、そして、魚のような下顎骨と口蓋を持っていた。しかし、魚類とは違い、両生類の特徴も持っていた。短くて平らな頭骨と動かすことができる首があり、鼓膜のための切りこみが頭骨の後ろの端にあり、頑丈な肋骨、四肢、肩と腰の骨を持つ」。
多数の図が掲載されているが、化石の写真と、生きている姿の復元図が並べられているので、理解を深めることができます。