榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

男系図でなく女系図で見れば、平家は滅亡していない・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1428)】

【amazon 『女系図でみる驚きの日本史』 カスタマーレビュー 2019年3月18日】 情熱的読書人間のないしょ話(1428)

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閑話休題、男系図でなく女系図で見れば、平家(平清盛の系統)は滅亡していない、ライヴァルの源氏(源頼朝の系統)の方こそ男系図でも女系図でも滅亡している――と主張する『女系図でみる驚きの日本史』(大塚ひかり著、新潮新書)は、著者独自の方法論が説得力を有しており、歴史好きには堪らない一冊です。

「『女系図』とは、私が古典文学にはまった中高生のころから作っている系図である。南北朝時代に編纂された系図集『尊卑分脈』や古典文学全集などに収められた通常の父系の系図に対して、母系の系図をこう呼んでいる」。

「たとえば平清盛の通常の系図は、桓武天皇―葛原新王―高見王―高望王(賜平姓)―良望―貞盛―惟衡―正度―正衡―正盛―忠盛―清盛―重盛―維盛―六代。教科書や年表では重盛の弟たちや甥たちの死んだ壇ノ浦の合戦を以て『平氏滅亡』としており、『平家物語』では戦後14年経って、清盛の直系の曾孫である六代が斬首されたことを以て、<それよりしてこそ、平家の子孫は、ながくたえにけれ>と、一門の滅亡と見なしている。・・・『平家物語』の原形が作られた鎌倉時代初期の人々は、六代の処刑を以て平家の滅亡と考えていたことが分かる」。

ところがどっこい、「母系をたどる『女系図』で見れば、そこら中、平家――清盛の生き残りだらけなのだ。・・・平家の女系図とはいっても、テーマ別に、あるいは人物別に、無数の系図を作る必要が出てくるわけで、中高時代から今に至るまで、こうした系図作りが私の趣味であった」。

『平家物語』と『平治物語』等による「清盛の女関係系図」は、「清盛の子を、母親別に書き分けてある。母親が分からぬ者は清盛から直接線を引いてある。これが簡単な『女系図』である。ここで目を引くのは、清盛の娘に源義経の同母妹がいることだ。母は、『平家物語』によれば中宮呈子の侍女の採用にあたり集められた美女千人から選ばれた常盤で、はじめ源義朝に愛され義経ら3人の息子を生み、平治の乱で義朝死後、(夫の敵)清盛の愛人となり、娘(『平家物語』によれば『廊の御方』)を生んだとされる」。

著者が「♪栄華は続くよ~どこまでも~系図」と名づけた、平家の生き残り系図を見れば、「清盛の血筋が今上天皇にまで届いていることが分かっていただけるであろう。平家滅亡? どこの話? ってなものである」。添えられている系図を見れば、著者の言い分に頷かざるを得ません。

その他に、私が個人的に興味を惹かれたのは、その次に載せられている「平氏と源氏の系図」です。源氏興隆の礎を築いた源義家の母は、何と、坂東平氏の祖・平直方の娘ではありませんか。源義朝、頼朝、義経らには平氏の血が流れていたのです。