榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

家なし、タンスはアマゾン、外食で十分という、落語家の型破り生活・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1458)】

【amazon 『その落語家、住所不定。』 カスタマーレビュー 2019年4月17日】 情熱的読書人間のないしょ話(1458)

レンゲツツジが橙色の花を咲かせ始めています。あちこちで、赤い花を付けたクルメツツジ(キリシマツツジ)が咲き競っています。薄黄色の花が特徴のウコンというサクラの品種が、あちこちで満開を迎えています。我が家では、ハナミズキが赤い総苞を付け、桃色のクルメツツジ(キリシマツツジ)が満開を迎え、フリージアが黄色い花を、ミヤコワスレが薄青色の花を咲かせ始めました。黄色いキエビネが間もなく開花しそうです。因みに、本日の歩数は10,970でした。

閑話休題、『その落語家、住所不定。――タンスはアマゾン、家のない生き方』(立川こしら著、光文社新書)は、何とも型破りな生活を送っている落語家の、具体的な実践説明書兼人生論兼幸福論です。

落語立川流真打の著者は、彼一流の人生論を展開しています。「富がある。名誉がある。肩書きがある。そんなもの、人生にとって些細なスパイスに過ぎないと思っている。一生という時間をどれだけ楽しく暮らせるのか。まずはそこからスタートすべきなのだ。これだけ文明が発達した人類が、生きることだけで精一杯になっているのは、先祖に対して申し訳ないと思うべきだ」。

「人はどんな状況でも幸せを感じることができる。夏場の部活で一日走り回ったあとの水のうまさ。校庭の片隅にあった、ただの水道水だ。何万もする高級ワインでも、あのうまさには敵わない。授業中、先生に指されて上手く答えられた時の達成感だってそう。田んぼのあぜ道を自転車で駆け抜けた疾走感。これは全部、私自身が感じた幸せだ。何一つ特別なことはしていない。どこにでもある、ありふれた日常の一コマ。全ての人が幸せと感じる事柄ではない。でも確かに私は幸せを感じていた。幸せのかたちは無数にある。共有できなくたっていいじゃないか。皆に羨ましがられる必要なんかどこにもない。大きい小さいも、上下もない。幸福を感じた者勝ちだ」。

衣食住の「衣」については、こんなふうです。「私はタンスを持たない生活を送っている。私にとってのタンスはアマゾンだ。必要な衣服だけ注文して、使ったら捨てる。洗濯だってほとんどしない。定住してるわけではないので荷物は最小限だ。このように衣服を減らせると最小限の単位が変わってくる。着替えに自分の人生をどれだけ左右されていたかがよくわかるのだ。次に泊る予定のホテルに、アマゾンから衣服が届いている。今日までの服はそこに脱ぎ捨てて、新たなシャツで次の仕事場に向かうのだ。アマゾンタンスもこなれてくると、新しい使い方が見えてくる。下着はこまめに買うことになる。ならば大量に買えばいい。探せば中国の業者が安く出していることがある。この時にまとめ買いをして、アマゾンの倉庫(=フルフィルメントセンター)に全ての在庫を送っておくのだ。そしてアマゾンに売り物として出品する。買った時の倍ぐらいの値付けでいいだろう。もう、こんなのは適当である。この下着を自分で買うのだ。ついでに誰かが買ってくれるかもしれない。これは商売ではない。だから利益率とか考えなくていい。うまくいけば小遣い稼ぎぐらいにはなるかも・・・程度でいいのだ。便利な世の中である。この便利さを十分に活用すれば、今までの概念を壊す新しいライフスタイルを手に入れることができるのだ」。

「食」については、こうです。「今や、プロが栄養バランスを考えた身体にいい外食は、いくらでも存在する。カロリーや成分も表示されている。・・・私自身、ここ数年、自炊はしていない。ほぼ外食だ。足りない栄養素はサプリで補えばいい。餅は餅屋というように、食事だってプロにまかせておけばいいのだ。近所の定食屋、コンビニ、ファミレスが私にとっての専属料理人である。・・・変化を恐れないことが、現代では大切なのである」。

「住」についても、著者は割り切っています。「定期的に通う場所はあるが、多くて月1回。他の日は日本国内にとどまらず、世界中が私の仕事場だ。都内にいるのは毎月10日ぐらい。だから家が不要なのだ。・・・ならば定住する必要はないではないか。自分が今いる場所を快適と思えれば、マイスペースという空間は無限に広がる」。

自分とは全く異なる生き方をしている人間の生活を覗く楽しみ、そして、自分のとは懸け離れた人生論に触れる喜び――を、存分に味わわせてくれる一冊です。