白雪姫を毒リンゴで殺そうとした王妃は、有罪か無罪か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1664)】
散策をしていると、秋の深まりを感じます。因みに、本日の歩数は10,700でした。
閑話休題、『昔話法廷』(NHK Eテレ「昔話法廷」制作班編、今井雅子原作、イマセン法律監修、金の星社)に収められている「『白雪姫』裁判」の被告は、白雪姫に毒リンゴを食べさせて殺そうとした罪に問われている王妃です。
裁判員に選ばれた大学生・大平まみの視点から、裁判員裁判の様子が語られていきます。
「裁判長の言葉に、検察官・霧島翔が立ちあがり、まくしたてるように書面(起訴状)を読みはじめた。『白雪姫の美しさに嫉妬をつのらせた被告人の王妃は、白雪姫を殺すことを決意しました。王妃はリンゴ売りのおばあさんに変装し、森で暮らす白雪姫を訪ねました。そして白雪姫に毒をぬったリンゴを食べさせ、殺そうとしました。白雪姫は、偶然、現場を通りかかった、となりの国の王子に救われたものの、一時、意識不明の重体におちいりました・・・。王妃の犯した罪は刑法第199条、第203条の<殺人未遂罪>に当たります』」。
「『弁護人の意見はいかがですか?』。『王妃は犯人ではありません。<無実>です!』。裁判長の問いに、弁護人・藤豊彦が立ちあがって答えた」。
尋問、質問、最終弁論を経て、評議に至ります。「結局、王妃が『白雪姫を殺せ』といっていたことは、狩人が証言しているので事実といえるかもしれないが、実際に王妃が白雪姫を殺そうとしたのかどうかを決定づけるものは、何もないようだった。・・・まみは勇気を出して、裁判長に聞いてみた。『裁判長。ひとつ聞いてもいいですか? もし王妃が有罪か無罪か意見がまとまらない時は、多数決で決めるんでしょうか?』。『最終的には多数決ということになります。でもここまで話してきたことを、もう一度考えてみませんか。ひとつのことも王妃の側から、白雪姫の側からと見方を変えてみると、またちがうことがみえてくるかもしれません。みなさんが納得いくまで話しあいましょう』。評議をみまもっていた裁判長が、ゆっくりと裁判員全員をみわたしていった」。
自分も裁判員になったかのような気分にさせられました。