映画『魔女の宅急便』の原作者のエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1668)】
地鳴きするウグイスに2mまで近づいたが、藪が深く、姿を見ることはできませんでした。アオサギ、ハクセキレイ、スズメ、ダリアをカメラに収めました。サザンカが咲き始めています。因みに、本日の歩数は10,783でした。
閑話休題、『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』(角野栄子著、KADOKAWA)は、映画『魔女の宅急便』の原作者・角野栄子、84歳が長年に亘り書き溜めてきたエッセイ集です。
「『魔女の宅急便』を書き始めるとき、主人公の名前がなかなか決まらなかった。かわいくって、魔女らしい名前にしたい。先に決まった黒猫の名前ジジに合うものにしたい。・・・(小学校一年生の時)嬉しくって、家に駆け戻り、飛びつくように父に言った。『先生がね、私の名前を知ってたの。栄子ちゃんって呼んでくれたの』。すると、父は笑いながら、『お前は可愛い子だから、先生が名前を覚えているのは当たり前だ』といった。その時の喜びを忘れることができない。子どもって、絶えずこのような時間を探し求めながら大きくなっていくように思う。一ヶ月ばかりたって、魔女の女の子はキキという名前に決まった。これしかない、そう思えた。そしてキキははっきりと存在するものになった。そこで初めて、私はキキに声をかけた。『ねえ、キキ。あなたのほうきのはじっこに私をのせてくれる? そして、二人で重いきり楽しくって面白い世界を飛んでみましょうよ』」、
「映画化の話が持ち上がってから、アニメで宮崎駿さんが私の思っている空の黒をどう感じてくださるか、私はたのしみでもあり、ちょっぴり心配でもあった。原作と映画とは別のものよね、と映画ができる前から構えてみたりもした。映画は風吹く土手の上で主人公の魔女キキが旅立ちを決心するところから始まる。近頃めっきり数が少なくなってしまった魔女は十三歳の年の満月の夜に旅立ち、魔女のいない町で一年間の修行をすることになっているのだ。あわただしい準備も終わり、いざ、旅立ち。そのとき、一切の音が消え、画面いっぱいにほうきにまたがったキキが現れる。荒い風に髪が逆立ち、スカートが大きくふくらむ。その一瞬の風の中に私はあの黒い色があると思った。私の勝手な思い入れが生かされている喜びを感じた。ここは映画の中の一番美しいシーンだと思う。・・・映画から私の本へのUターン現象は今も続いている。私の本は宮崎さんと幸せな出会いをしたのだなと思う」。
『魔女の宅急便』の原作を読みたくなってしまった私がいます。