何とも救いのない物語・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1925)】
【amazon 『おれの眼を撃った男は死んだ』 カスタマーレビュー 2020年7月22日】
情熱的読書人間のないしょ話(1925)
モミジアオイが赤い花を咲かせています。あちこちで、ゴーヤーが実を付けています。さまざまな色合いのムクゲも頑張っています。
閑話休題、短篇集『おれの眼を撃った男は死んだ』(シャネル・ベンツ著、高山真由美訳、東京創元社)に収められている『よくある西部の物語』は、はっきり言って、何とも救いのない物語です。
「兄はあたしを迎えにきた最初の男だった。酒をしこたま飲んで、ニューメキシコの売春宿の外で、素っ裸の姿をあたしの目のまえにさらした最初の男でもあった。約束をしたら、それを守るだろうとあてにできる最初の男でもあった」と、幕が開きます。
15歳の「あたし」、ラヴィーニアの父は南北戦争で戦死し、インディアンの母も死んでしまいます。預けられた父の妹一家に虐待されているラヴィーニアを救い出してくれたのが、兄ジャクソンです。
ところが、ラヴィ―ニアは兄とその仲間の銀行強盗を手伝わされ、兄に命じられて、出納係の目を撃ち抜いて、命を奪ってしまいます。
保安官と保安官助手の静止も聞かず、留置場に押し入ってきた怒り狂った40人ほどの町の男たちに、兄も妹も首を吊られてしまいます。
極力、感情を排した乾いた文章で綴られていく物語を読み終えて、暫く、ぼーっとしていました。