72歳のモデルで栄養士のメイ・マスクの生き方から学べること・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1954)】
散策中、アブラゼミの雌が、木と勘違いしたのか、私の腕に止まろうとしました。ヤブキリの雄、ツマグロヒョウモンの雄をカメラに収めました。ルリヤナギ(写真5)、エボルブルス(アメリカンブルー。写真6)が花を咲かせています。
閑話休題、『72歳、今日が人生最高の日』(メイ・マスク著、集英社)は、72歳のモデルで栄養士のメイ・マスクのエッセイ集です。
「わたしはいま、72歳になった自分をすばらしいと思っている。72年生きてきて、ふたつの仕事で成功し、3人の子どもを育て、11人の孫がいる。そして現在、食生活カウンセラーとしてあちこちで講演をし、モデルとしてもかつてないほどの人気を得ている。この本の執筆まで依頼された。だから、72歳は最高! いまも毎朝、目覚めたとたんにわくわくしている。何にでも一生懸命取り組み、計画を立てて、思い切ってやってみれば、火星にだって行けるかもしれない」。
「髪を染めるのをやめたら急に売れ出すなんて、誰が思っただろう? 15歳のときにはモデルの寿命は18歳までだと言われたのに、72歳でわたし史上最高の人気を得ている。いつだって道は見つかる。いつだって、計画は立て直せる。たしかに学びを得るまでには時間がかかった。でも、いまでも学びつづけている!」。
「ほかにも仰天するようなことが起きた。SNSだ! SNSに投稿すると、白い髪が大人気になり、この髪の色のおかげでモデルの仕事が入るようになった。いまではその日の現場に白髪のモデルはわたしひとり、とわかったうえで部屋に入っていくのがとても楽しい。白髪の女性がほかにもいるときには、かならずにっこり笑って声をかける。『おそろいね』。いま確実に言えるのは、ますます楽しくなっているということ。毎週月曜日になるたびに、さらにわくわく感が増しているのは、何かおもしろいことが起きそうだと期待しているから。たとえ何も起きなくても、何かを起こすためにSNSやウェブサイトに投稿して心躍らせている。だから、72歳は最高なのだ。だから、年齢なんて気にしない。おもしろいことをするのに忙しいから」。
「誰かにアドバイスをするとしたら、人にはやさしくし、ほかの人の言うことに耳を傾けて、楽観的であること。苦労話なんてやめて。自信とほかの人に対する敬意と関心を見せてほほえんで。そうすれば魅力的になれる。どんな人にも、ほかの人の役に立てる才能がある。才能なんて何もないと思ったら、これまでの人生で自信を持てた瞬間を思い出してほしい。そしてその分野でがんばればいい。その分野の勉強をしたり、ほかの人に教えたり、さらに興味を深めたりすること。とくに関心があることについては本を読み、話をしてみてほしい。それでわくわくしたら、もっとおもしろくて、賢い人になれるはず。何でも得意になる必要なんてないけれど、得意な何かは必要だ。・・・わたしたちは前進して、自分に満足しなければいけない。ユーモアあふれる話し方ができて、自分のことを笑い飛ばせて、明るい声でおしゃべりできれば、もっと楽しい人になれる。必要なのは魅力的になることなのだ」。
「(31歳で)離婚後、わたしは幸福な家庭をつくり、子どもたちを幸せに育て、親切にしてくれる新しい友人ができ、栄養士とモデルで成功したことで、自信を取り戻した。失った自信を取り戻すには、大きな変化が必要かもしれない。落ち込んでばかりいるのは、けっしてよい生き方とは言えない。ありのままのあなたを認めてくれる家族や友人や同僚たちに囲まれること。そうすれば、心から胸を張り、自信を持って歩けるだろう」。
「人生は予想がつかず、驚きに満ちている。ときには賭けに出て、大きな変化を起こすことも必要。41歳のとき、ヨハネスブルグでの栄養士の仕事は順調で、快適な家も持っていた。ついに、安心を手に入れたと思っていた。そんななか、(長男の)イーロンがカナダへ行きたがった。コンピューダへの興味を追求するには、北米がふさわしいと感じていたのだ。・・・すべての準備が整うには、とても時間がかかった。ようやくパスポートが届くと、その3週間後、イーロンはカナダへ発った。17歳のときだ。・・・カナダには新しい可能性があり、移住は家族にとってよい転機となった。わたしにとってヨハネスブルグでの生活は絶好調で幸せだったけれど、子どもたちはアメリカ大陸に未来を見出した。カナダでならスタートが切れる。そしてもうひとつ言えるのは、20年来の地獄だった前夫のことをもう二度と恐れずにすむということだった。おびえることなく生きられるのは、なんとすばらしいことだろう」。因みに、このイーロン・マスクは、宇宙船開発・打ち上げのスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズと電気自動車のテスラのCEOです。
「すべての独身女性たちへ――誰かを愛すれば幸せになれるが、ひとりでも幸せになれる」というアドバイスが目を惹きます。
「もし、あなたがわたしから何かを学ぼうと思ってくれるなら、この言葉を覚えておいてほしい。『年をとるのを恐れないこと。そして、年をとるのを恐れない友だちと付き合うこと』。いろいろな年代の友だちと楽しく過ごそう。・・・年をとることはすばらしい。年を重ねるにつれ、人は賢くなれる。もっと自信を持つこともできる――これはわたしも経験したうれしい驚きだった」。
「計画を立てても、いつもうまくいくわけじゃない。失敗したら別の計画を立てる必要がある。作戦を練り直す、と言ってもいい。人生は、上がったり下がったりを繰り返すジェットコースターみたいなもの。上がったときは最高かもしれないけれど、下がったときはきっと、ものすごくつらい。そして下がったときは、這い上がるための計画を立てなくてはならない。でも、年をとるにつれて下がったときの悲惨さは薄れ、痛みも少なくなり、傷つくことも減る。過去にそれを乗り越えてきた『経験』があるからだ。いつ幸せになりたいのかは、自分で決めなければならない。あなたはいつ幸せになりたい?」。