咳をしても一人――尾崎放哉の自由律を、一人味わう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1974)】
【読書クラブ 本好きですか? 2020年9月9日号】
情熱的読書人間のないしょ話(1974)
東京・文京の小石川後楽園で、ギンヤンマの交尾→産卵を目撃することができました。ギンヤンマは交尾後、雄雌が連結したまま産卵します。カイツブリが潜水しています。因みに、本日の歩数は15,532でした。
閑話休題、『尾崎放哉――つぶやきが詩になるとき』(河出書房新社)は、さまざまな識者がそれぞれの角度から、尾崎放哉の自由律俳句について、句作の背景について、そして放哉の生涯について綴っています。
私の好きな放哉の句を、順不同で挙げてみます。
●咳をしても一人
●とつぷり暮れて足を洗つて居る
●墓のうらに廻る
●こんなよい月をひとりで見て寝る
●にくい顔思い出し石ころ蹴る
●あすは雨らしい青葉のなかの堂をしめる
●すばらしい乳房だ蚊が居る
●髪の美しさもてあまして居る
●心をまとめる鉛筆をとがらす
●枯枝ほきほき折るによし
●障子しめきつて淋しさをみたす
●なんにもない机の引き出しをあけて見る
同じ自由律といっても、荻原井泉水、種田山頭火とは趣が異なりますね。