榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

維新を除く野党の全議員が可及的速やかに熟読すべき本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2052)】

【読書クラブ 本好きですか? 2020年11月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2052)

東京・中央・明石町の聖路加国際病院→銀座一帯を歩いたが、コロナ禍のため、例年のようなクリスマスに向けた盛り上がりは感じられませんでした。因みに、本日の歩数は13,560でした。

閑話休題、中村喜四郎という政治家が、現在の政治状況をどう見ているのか、野党をどのように結集させようとしているのか――を知りたくて、『無敗の男――中村喜四郎 全告白』(常井健一著、文藝春秋)を手にしました。

<私は自由民主党に20年ほど籍を置いていました。その間に田中角栄さん、竹下登さん、中曽根康弘さん、福田赳夫さん、こういった人たちの政治を見て参りました。あの頃の自民党政治は権力を濫用することなく、権力を動かすことには抑制的で、常に自己批判をし、何か問題が起きたらばそれを解決していくだけの自浄能力を持っていました。そして、自民党には保守派からリベラル派まで幅広くいて、反対する者がいたら排除せずにみんなの意見を丁寧に聞いていくだけの責任を持とうという姿勢が、昔はありました。しかし、今、私は無所属となり、立憲民主党・無所属フォーラムという会派に入って自民党を見てみると、数の力にモノを言わせ、権力を振り回し、政治主導という名の下ですべての問題を押し切る。自民党には政権を担当するだけの謙虚さがまったくなくなってきた。民主主義とは程遠いところまで行ってしまった>。

「今、中村は安倍一強体制の打倒を掲げ、かつて反目した小沢(一郎)と同じ反自民路線に舵を切っている」。

<立憲民主党や国民民主党の人とよく飯を食って話を聞くようになると、政治のことも、国民のことも、よくわかっていないという感じです。自分たちがやっていることは正しいことだと思っているのに、いっこうに結果が出ない。どうして結果が出ないのか、わかっていない。最初にスタートする前に考えるべきことを考えていないんだ。子どものケンカをやっているわけだからね。今は、与党にだけ政治がわかっている人がいて、野党にはいないんですよ>。

<小沢と中村が語ったって、国民的にはそれがどうしたという話。でも、野党が一つのまとまりとなり、行けるよとなった時にわだかまりがあったらしょうがない。私がやることに小沢氏が側面から理解を示すということがあったり、小沢さんがやることに私が側面から理解を示していくということがあったりして通じ合っていくことが、これからの野党再編には必要なんだから。・・・私は志位(和夫)さんと会う、枝野(幸男)とも会う、玉木(雄一郎)とも会う、大塚(耕平)とも会った。赤松(広隆)にはしばらく会っていないから、茶々入れられるなと、そういうことも気にしながら、全野党の党首クラスに呼びかけて、とんでもなく気の遠くなる作業を丁寧にやっている。何でそこまで熱心にやるのかと不審に見られているけど、それが政治を知っている我々の世代のやりかたなんだって>。

<共産党だからダメとか、応援できないとか、そういう考えを持っていたから自民党の強い時代が今まで続いてしまったんだ。野党が強くなるためには、政策の話よりも選挙で党派を超えて戦うことなんです。野党は戦わないから忘れられる。戦ってなんぼの政党、野党共闘。戦わないから風頼みと言われてバカにされる。そこで、仕掛けるのはやっぱり知事選挙ですよ。知事選挙というのが野党共闘の一番のベースになる。次々に戦ううちにまとまっていく。知事選挙で勝てたら、政令指定都市、中核都市で戦う。さらに、県議会、市議会の3分の1を押さえる。そういう流れが出てくる。だから、一つひとつの知事選挙で勝つことが絶対に必要です。これからの4年間で、知事選、15勝32敗でいいんだよ。野党が勝てるところは大きな県だから、そうすると日本の有権者の3割5分から4割を押さえられる。そこには、衆院の小選挙区もたくさんある。そしたら、各小選挙区にバッと出す。自民党を塗り替える。40議席増やせば与野党伯仲になり、10年かけて知事選、24勝23敗になれば政権交代ですよ。これを野党の連中に提案して実行できるかだ>。

維新を除く野党の全議員は、可及的速やかに本書を熟読し、即、実行に移すべし――と、言いたい。