榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『刑事コロンボ』ファンには見逃せない一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2178)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年3月31日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2178)

シバザクラ(写真1)、サクラソウ(写真2)、パンジー(写真3)、リヴィングストン・デイジー(写真4~8)、チューリップ(写真9~12)、キンセンカ(写真13)、ミツマタ(写真14)、アカバナミツマタ(写真15)が咲いています。

閑話休題、私はテレビ・ドラマ『刑事コロンボ』ならびに『新・刑事コロンボ』の熱烈なファンです。『刑事コロンボ』45話と『新・刑事コロンボ』24話を1回だけでなく、再放送のたびに見ているので、延べ何回見たか分からないほどです。私のようなコロンボ・ファンにとって、『刑事コロンボの帰還』(山口雅也・菊池篤他著、二見書房)は見逃せない一冊です。

『刑事コロンボ』シリーズの45話のそれぞれについて、作品解説、製作者名鑑、監督名鑑、脚本家名鑑、音楽家名鑑、俳優名鑑、トリヴィアなどがてんこ盛りだからです。

「今回通しでNBC版『刑事コロンボ』を再見して気づいたことがある。それは、各話が大きく2つのタイプに分けられるのではないかということだ。まず、Aタイプ(本格的ミステリ型)は、ミステリとして、よくできているもの。犯人の仕掛けるトリックのアイディア、緻密なプロット、伏線の妙、意外な手がかり、中盤のサスペンス、そして、ラストでコロンボが犯人に仕掛ける罠や論理的追及による決め手の意外性等々、ともかくミステリとして通人を唸らせるようなエピソードである。このタイプはシリーズの前半に多く、中盤に最高潮となっている。これに対し、Bタイプ(犯人共感ドラマ型)は、ミステリとしての仕掛けよりも、ある意味主役でもある犯人側の動機や背景をめぐるドラマに厚みを持たせたもの。時には、犯人が必ずしも絶対悪ではなくて、やむにやまれぬ動機があって殺人を犯した、むしろ尊敬すべき人物であることが明らかになり、視聴者もコロンボも犯人に共感せざるを得ないというような感動的なエピソードもある。このタイプは、特にシリーズ後半に目立ってくる。もちろん、各エピソードを、これら2つのタイプに厳密に仕分けできるものではない。もともと『刑事コロンボ』は、これら2つの見どころを併せ持ったテレビ・ドラマであり、あくまでも、どちらにより比重が置かれているかという分類で、更に言えば、両要素を満足させる名作エピソードというのも存在するからだ」。