榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

想像を超えるアイデアを生み出すためのヒントが詰まった刺激的な一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2184)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年4月6日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2184)

1時間以上、粘った甲斐があり、囀るウグイス(写真1~6)をカメラに収めることができました。サクラの園芸品種・ギョイコウ(写真7~9)とウコン(写真10、11)、ハナミズキ(写真12)が咲いています。我が家のハナミズキ(写真13)は、赤色から桃色に変化してきました。ハナミズキの白い花弁、桃色の花弁のように見えるのは総苞です。

閑話休題、『妄想する頭 思考する手――想像を超えるアイデアのつくり方』(暦本純一著、祥伝社)は、想像を超えるアイデアを生み出すためのヒントが詰まった刺激的な一冊です。

●「天使度」と「悪魔度」のバランス――
「私の研究室では、黒澤(明)監督の言葉(『悪魔のように細心に! 天使のように大胆に!』)を踏まえて、研究開発のテーマも『天使度』と『悪魔度』の2つの座標軸で評価している。天使度は発想の大胆さを表わす尺度だから、『素人』的なものも含まれるし、人をポカンとさせるようなアイデアもこれの度合いが高い。一方の悪魔度は、黒澤監督の言う『細心さ』に加えて技術レベルの高さも含んでいる。実現をするのに必要な技術レベルが高いアイデアほど、悪魔度が高い。だから、より玄人の専門性が求められる。もちろん、難しい課題ほど実現させるには『細心』な仕事が必要になるから、黒澤監督の言葉とも通じている。・・・天使のような大胆さを支えるのが妄想だ。悪魔でさえ『いや、それはちょっと・・・』と尻込みするようなレベルの妄想を抱き続けられる人間が、破壊力のあるイノベーションを起こすのだと思う」。

●言語化は最強の思考ツール――
「発想法にはいろいろな技法があるが、私が大事にしている思考ツールはとてもシンプルに『言語化』だ。言語化すれば一撃でわかる。モヤモヤとした頭の中のアイデアをとにかく言語化してみることで、そのアイデアの穴が見えてきて、妄想は実現に向かって大きく動き出す。・・・アイデアの原点である『WHAT(何をしたいのか)』や『WHY(なぜやりたいのか)』などを明確にするには、言語化が最強の思考ツールだ」。

●アイデアは「既知×既知」――
「新しいアイデアを生むために『既知×既知』が必要だとしても、ひとりの人間では『既知』の個数や幅に限界がある。それなら、集団で『未知』の情報をインプットし合って『既知』の引き出しを広げておけば、考えの幅は広がる。そのために会議を有効に使うことはできるだろう」。

●試行錯誤は神との対話――
「同じようなアイデアは、自分以外にも思いつくことができる。でも、その実現を阻む壁を乗り越えられるのは自分しかいないかもしれないし、乗り越え方に自分らしさが出せるかもしれない。そう思うと、一回やってみて失敗するぐらいのほうが、やり甲斐のある面白いアイデアのように思えるのだ。なかなか壁を突破できず、二回、三回とやり方を練り直すことも多い、苦しいと言えば苦しいが、『ここから先はどんなライバルも脱落するはずだ』と思えるレベルに突入すると、逆にファイトが湧いてくる。・・・手を動かさないと失敗さえできない。失敗によって問題の構造が見えてくれば前進だ。うまくいかないなら、その問題を解決する方法を考えながら、また手を動かせばいい。そういう試行錯誤をどこまで続けられるかが、技術開発の勝負どころだ」。

●ピボットが生む意外性――
「うまくいかないアイデアを完全に捨て去るのが惜しいなら、『いったん眠らせておく』という方法もある。・・・一方、いったん眠らせるのではなく、そのアイデアを別の形で活かす道もある。いったん立ち止まって、ピボット(方向転換)するのだ。試行錯誤の最中に浮かんだ別の妄想は、その大きなきっかけになる」。

●トレードオフのバランスを崩す――
「技術開発には、『あちらを立てればこちらが立たず』というトレードオフの関係にある機能や性能がある。そういうとき、ふつうは『解像度も速度も』と、両方を達成しようとするので話が難しくなる。・・・トレードオフのバランスを崩すのは、行き詰まったアイデアに突破口をもたらす考え方のひとつだ」。

●「そもそもの目的」に立ち返る――
「『そもそも何をしたかったのか』を忘れていると、思いがけない展開のチャンスを逃す可能性がある」。