世界の10大民族の興亡が、この一冊でざっくり把握できる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2195)】
シャリンバイが芳香を漂わせています。シジュウカラが囀っています。
閑話休題、『10大民族で読み解く世界史の興亡――歴史の主役に躍り出た民族の素顔とは』(宮崎正勝著、KAWADE夢新書)は、著者が選択した10大民族の興亡が、ポイントを外すことなく簡潔に記されています。
10大民族とは、次の民族です。
●イラン人(ペルシア人)=1000年間も西アジアを支配し、「世界史の基盤」をつくる。
●ラテン人=ローマ帝国を築き、ヨーロッパ世界の土台になった。
●アラブ人=イスラーム世界と大商業圏をつくり上げる。
●インド人=「棲み分け」とカースト制で多様性を保った。
●漢人(中国人)=言語が異なる人々をまとめた、独自の思想とシステム。
●モンゴル人=ユーラシアを一体化し、大商業ネットワークをつくる。
●トルコ人=モンゴル高原~地中海までの広大な地域で活躍した。
●満洲人=ラッキーの連続で、東アジア最大の清帝国を打ち立てた。
●ゲルマン人=寒冷な「海」から大西洋へ出て、地球規模の覇権を握った。
●ユダヤ人=世界資本主義をリードした、商業民のチャンピオン。
「過去の帝国も王朝も、有力な部族の連合体であり、軍事力による部族の抗争と膨脹が当然のように繰り返されてきました。その時代の『民族』は強力な部族を中心とする諸部族の結合体であり、他との協調は二の次で、自分たちの集団の利益を第一としていたからです。力関係で全てが決まる過酷な時代が、文明の誕生以来、長期間にわたって続いてきたわけです」。
「世界を変動させた民族はそのほとんどが、遊牧民もしくは商業民でした。それらの民族はもとは弱小民族でしたが、諸民族を吸収・同化するかたちで大勢力となり、状況が変化すると分裂と弱小化の道をたどりました。現代の混沌とした社会情勢を読み解き、さらに将来を展望するには、それらの諸民族の出自や歴史、行動原理を知り、西洋史とは別の世界史があると知ることが必要だと思います」。