榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

イスラエルには、ユダヤ人だけでなく、非ユダヤ人も住んでいることを、君は知っているか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2556)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年4月17日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2556)

ジャスミン(写真1~4)、フジ(写真4~8)が芳香を放っています。ヒラドツツジ(写真9~11。11はオオムラサキという品種)が咲いています。我が家では、オダマキ(写真12)が咲いています。

閑話休題、『だれも知らないイスラエル――「究極の移民国家」を生きる』(バヴア編著、花伝社)では、イスラエルで暮らす人々の日常生活がマンガで描かれています。

私が驚いたのは、イスラエルには、ユダヤ人だけでなく、非ユダヤ人も住んでいると記されていることです。「イスラエルにはユダヤ人と、ユダヤ人ではない人たちがいる。ユダヤ人ではない人々とは、アラブ系イスラエル人のイスラーム教徒(パレスチナ人)、キリスト教徒、ドルーズ、ベドウィン、チェルケス人、アジアやアフリカ諸国からの移民・難民である。・・・イスラエルが『ユダヤ人国家』であるために、ユダヤ人ではない人たちにとっては暮らしづらいことも多い。たとえば、ユダヤ人と非ユダヤ人が入るお墓は区別され、ユダヤ人でないとユダヤ人用の墓に入ることはできない。結婚についても、首席ラビ庁は、非ユダヤ人とユダヤ人の結婚を認めず、そのようなカップルは市民婚としてキプロスなど海外で式を挙げるしか手段がない。また、イスラエルには国防軍としてイスラエル軍があり、18歳以上の男子は3年、女子は2年の徴兵制度がある。イスラエルの兵役が特異なのは、兵役に就くこと自体が社会的な資格として見られていることだ。イスラエルでは兵役を終えると一市民として認められるだけでなく、就職先や住宅購入時の住宅ローン受給資格の獲得が可能になるなど、兵役が社会経済的な資格としてみなされている場合も多い。一方、アラブ系イスラエル人(パレスチナ人のみ)には兵役は求められていない。兵役に行けない・行かないアラブ系イスラエル人は、兵役の時点ですでに社会経済的な上昇のための梯子を外されてるとも言える。一方、アラブ系イスラエル人の中でもドルーズとベドウィンは兵役を積極的に受け入れ、社会経済的な梯子を登ろうとしている」。

「さらに、『ユダヤ人』であっても、一枚岩ではない。それぞれ、多様な地域から、異なる時期にイスラエルにやってきた人々である。『ユダヤ人』と聞いて、日本の読者が思い浮かべるのは『アンネの日記』や『ホロコースト』といったドイツや東欧のユダヤ人ではないだろうか。しかし実際には、ユダヤ人は、東欧だけでなく西欧、ロシア、中東、アフリカ、アジア、南北アメリカ、オセアニアにも存在する。最大のユダヤ人人口を抱えるのはイスラエルだが、次に多いのがアメリカだ。読者の皆様のイメージになさそうなユダヤ人の出身地としては、エチオピアや、セファルディーム(中世スペインから追放され近隣諸国に移住したスペイン出身者の末裔)、アジア圏では中国、インド、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、南米などがあるだろう。イスラエル社会では、アジュケナジーム(ロシア・欧米諸国出身)、ミズラヒーム(中東・北アフリカ諸国出身:モロッコ、アルジェリア、イエメン、イラク、エジプト、リビア、チュニジアなど)、旧ソ連諸国出身者が移民集団としての規模が大きい」。