榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

700年間栄えたインダス文明が忽然と歴史から姿を消したのは、なぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2558)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年4月19日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2558)

シャガ(写真1~3)、オオアマナ(写真4)、ソラマメ(写真5)、コロニラ・ヴァレンチナ(写真6)、ボケ(写真7)、ジャスミン(写真8)、アリッサム‘スーパー・アリッサム・スノー・プリンセス’(スイートアリッサム、ロブラリア・マリティマ、ニワナズナ。写真9)、オウバイモドキ(ウンナンオウバイ。写真10)、ツクシカイドウ(チャカイドウ。写真11)が咲いています。ホオジロ(写真12)、ハクセキレイ(写真13)をカメラに収めました。我が家の庭の片隅では、ウスベニカノコソウ(写真14)が咲いています。

閑話休題、『インダス文明――文明社会のダイナミズムを探る』(上杉彰紀著、雄山閣)のおかげで、インダス文明について、いろいろと学ぶことができました。

●文明と呼ばれるには、都市と文字の存在が必須である。

●世界四大文明とは、古い順に、メソポタミア文明、エジプト文明、中国文明、インダス文明を指す。

●前2600~前1900年頃、インダス地域(南アジア北西部のインダス大平原とその周辺地域)に、都市と文字を持つインダス文明が栄えたが、前1900年頃に都市はなくなり、文字も使われなくなり、忽然と歴史から姿を消した。メソポタミア文明、エジプト文明、中国文明が変化を繰り返しながらも、文明社会としては存続したのとは対照的である。

●インダス文明の突然の衰退は、かつて言われたような、侵入してきたアーリヤ人による破壊によるものではなく、気候変化により乾燥化が進み、農業生産が深刻なダメージを受け、降水量が相対的に多い東方へ人口移動が生じたためと、著者は推考している。

●衰退後、インダス文明は、東のガンガー平原(ガンジス平原)やインド半島部(インド洋に向かって逆三角形に突き出た部分)に影響を及ぼした。前5世紀頃、釈迦が仏教を創始したのは、まさにこのガンガー平原に生まれた都市社会においてであった。前3世紀に南アジアを広く統一したとされるマウリヤ朝のアショーカ王も、このガンガー平原の都市社会が生み出したものである。

今まで知らなかったことを知る喜びを味わわせてくれる一冊です。