GAFAを始めとする企業が雑談AI開発に血道を上げている理由・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2231)】
ニワトコ(写真1)が実を付けています。ザクロ(写真2、3)、シロツメクサ(クローバー。写真4、5)、アカツメクサ(ムラサキツメクサ。写真6)が咲いています。
閑話休題、『AIの雑談力』(東中竜一郎著、角川新書)は、人間と雑談を行うAI(人工知能)についての本です。
「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)といった大企業がこぞって雑談AIを開発中。その性能は日々高まっています。どうして、それほどまでに大企業が雑談AIに注目するのか。本書ではその理由を説明します。人間がいとも簡単に行っている雑談ですが、AIにとっては実は高度な技術です。雑談AIは、ディープラーニングを含む、さまざまな技術や方法論を用いて、人間が話していることを理解したり、発言を作ったりしています。それでもまだ課題が多くあります」。
本書では、雑談AIがどのように考え、どのように応答しているのか、そのメカニズムが具体的に説明されています。
「AIが雑談をする最大のメリットは。人間同士が雑談で得ているメリットを享受できることです。たとえば、人間との関係性をよくすることでユーザの信頼を得ることが可能です」。「権限の委譲ができるということは、すなわち信頼できるということです。完璧ではなく失敗するリスクが多少あっても仕事をお願いできる関係性。そうした関係性は、人間では主に雑談によって築かれます。これは相手がコンピュータでも同じと考えられます」。
続いて、雑談を可能にする仕組み――発言の理解と対話相手の理解、自然な発言を生成する試み、対話破綻の克服――が具体的に説明されています。
著者は、未来をこのように予想しています。「検索エンジン、機械翻訳、各種のサジェスト機能、そういったものを我々はある程度信用し、日常の判断を行っています。こういったものが、統合され、会話によってやり取りができるようになる」。そうした時、どのシステムが信頼できるかを判断し、どのシステムと話したいかを決める最大の要因が、雑談だというのです。