日本は普通の人が頑張れる素晴らしい国ということを忘れるな・・・【薬剤師のための読書論(3)】
『竹中式 イノベーション仕事術――「楽には生きられない日本」で闘う12の力』(竹中平蔵著、幻冬舎)は、なかなか読み応えのある仕事術の本である。
著者の言う12の力とは、自分自身をプロデュースする「プロデュース力」、熱い心で思い込める「熱心力」、飽きずに原点に立ち返る「基本力」、相手の目的関数を見抜いたうえの「判断力」、馬鹿を相手にしない「情報力」、心に宇宙を描く「洞察力」、イノベーションを生む「結合力」、敵ができても恐れない「徹底力」、多忙が前提「切り捨て力」、スイッチングを怠らない「健康とリリース力」、志のネットワーク「サポーター力」、人生塞翁が馬「達観力」である。
その語り口は、「たとえば、経済の分野でいえば、ひとつのテーマに5年間本気で打ち込めば、5年後にはこの国で5本の指に入ることは難しくないでしょう」、「基礎があれば応用が利きます。つまり、基礎があれば勉強は加速度的に進むのです」、「判断力、とくに一瞬の判断力を持てるかどうかは、日頃からの問題意識の持ち方とイメージ・トレーニングで決まるということなのです」、「もしも(東日本大震災の復興)構想会議のメンバーに歴史を踏まえた洞察力があり、復興政策がどのように進むかという体系・宇宙が描けていれば、もっと違った復興策になっていたと思います。きっと東北地方に世界最先端のエコタウン、スマート・シティができていたのではないでしょうか。農地を統合して、かつて日本にはなかったような大規模農場が建設されていたのではないでしょうか」といった具合である。
日本は今、本当に難しい時代を迎えているが、「日本は普通の人ががんばれる、すばらしい国」ということを忘れるな、「正々の旗」を掲げ、「堂々の陣」を組んで頑張れと呼びかけている。
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