立花隆ゼミ生たちが行ったインタヴュー集、その2・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2286)】
ノリウツギ‘ミナヅキ’(写真1)、フロックス・パニキュラータ(宿根フロックス、クサキョウチクトウ。写真2~4)、フロックス・ドラモンディ(キキョウナデシコ。写真5)、アサガオ(写真6)、ヒマワリ(写真7)が咲いています。図書館のグリーン・カーテンになっているゴーヤー(写真8~10)が花と実を付けています。
閑話休題、『二十歳のころ――立花ゼミ「調べて書く」共同製作(Ⅱ 1960~2001)』(立花隆+東京大学教養学部立花隆ゼミ著、新潮文庫)は、立花隆ゼミ生たちが行ったインタヴュー集です。
とりわけ興味深いのは、「石弘之にきく」、「赤川次郎にきく」、「西和彦にきく」の3つです。
●石弘之――
「やっぱり本を読むということですね。僕は一番重要なことだと思っています。なんか今の諸君をみていると、脳細胞の栄養失調という感じがするねえ。やっぱり本というのは先人が残した知恵ですからね。だから週に一冊はね、マンガじゃないまっとうな本を読んでほしい。第二は、二十歳前後しかできないのは語学なんですよ。これは年とってからやろうと思っても、後からでは間に合わない。年とってから、語学をやっていればよかったということを多くの人が悔やむわけですよ。だから僕がみんなに要求しているのはね、第二外国語は日本語の七割程度の能力、第三外国語は日本語の五割程度の能力。二つの外国語を身につけるのは学生時代しかない。ですから徹底的に語学をやってほしい。・・・第三はですね、生涯自分の友とできる趣味を作ること」。全く、同感です。
●赤川次郎――
「中学生の時に読んだシャーロック・ホームズ。知的な面白さというものをそこで学びました。それをきっかけにアガサ・クリスティなどへと広がっていったんです。それから高校一年から二年の時に読んだオーストリアのシュテファン・ツヴァイクという人の『心の焦躁』という小説。それまでは長いものを読むときには、これはいい本だから読むべきなんだと自分にいい聞かせる努力が必要だったんです。でも『心の焦躁』という長編は、高度な文学でもこんなに面白いものがあるんだと思わせてくれました。こういう文学だったら僕にも書けるかもしれないと思えて、小説家になるきっかけをくれたんですね。この間もう一度読んでみようとしたら、えらい長さでびっくりしてしまったのですが」。私が『心の焦躁』を読んだのは70歳の時だが、同情と愛情を取り違えた令嬢と将校の悲劇の物語を堪能することができました。
●西和彦――
「例えば、この世界に一億五千万人の適齢期の異性がいるとしたら、その一人にフラれても、まだ一億四千九百九十九万九千九百九十九人の選択肢というか、可能性がある。『フラれた、フラれた』って思うより、あとそれだけの人と付き合う可能性が出てきたと思う方がハッピーでしょ。寝る時にも、明日出来ることが百個くらいある。いろいろなことが出来て、その中から何をしようって、考えるだけでも楽しいじゃないですか。まあ、実際には僕もフラれてがっかり、浪人してがっかり、だったけどね(笑)」。私も、寝る時に、明日はこれをしよう、あれをしようと考えるとワクワクしてくるのだが、その気分をじっくり味わう間もなく、寝入ってしまうのが常です(笑)。
巻末のゼミ生たちの「私の二十歳のころ」から――
「今は雌伏期間でもいつか必ず跳べる。そう臆面もなく信じる勇気をもらった」(平尾小径)。