榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本人が言うだけで性別が変わった元男が、女を名乗り、女湯に入ってきたらどうする?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3049)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年8月23日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3049)

アブラゼミの雌(写真1)、サトキマダラヒカゲ(写真2)、ツマグロヒョウモンの雌(写真3)をカメラに収めました。フロックス・パニキュラータ(宿根フロックス、クサキョウチクトウ。写真4、5)が咲いています。

閑話休題、『女肉男食――ジェンダーの怖い話』(笙野頼子著、鳥影社)の主張を、一言で表現すると、「LGBT理解増進法のLGBとTはきっちり分けて考えないと大変なことになる!」と、刺激的です。この法律は2023年6月16日に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」として成立してしまったが、本書が書き上げられたのは2023年2月26日という法案審議中だったため、著者の危機感、切迫感が本書の全ページに横溢しています。

因みに、Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーの頭文字で、トランスジェンダーとは、ジェンダー・アイデンティティ(性自認、性同一性)が出生時に割り当てられた性別と一致しない人のことです。

著者は、こう言い切っています。「(Tは本人が)言うだけ口だけで性別が変わる。女を名乗り、自分は女湯に入って当然とする男もいます。彼らはそういう自分の正当性を強調するために、大変な手術をする人を否定します。すると陰茎があるままで女湯に来るんですか?」。

「(この法案の)正体ったら『自分で自分の性別を勝手に変えるのは人権だ、顎髭陰茎付きでも本人が女だというのなら女湯に入れろ』、なわけで、これを多数決で通しその後は速攻でジェンダー保護要件を反差別法(発言禁止罰則付き)の中に放り込んでおけば、報道規制大成功です」と、危機感露わです。

「要するにLGBTとは、普通に同性結婚したい真面目な人々の尻に、クイア(変態)思想信奉者で手術する気もなく、女湯に入りたいジェンダー主義男がくっついている寄生状態なわけですよ。しかも主導権は後者が持っている」。

「心配なのは『性自認を理由とする差別は許されない』という言葉です。・・・さあ性自認、性自認、性自認、最後に覚えてください、これもジェンダーです。ほら、ジェンダー・アイデンティティーの新訳です」。

リベラルな私は、本書を読む前は、この法律に賛成だったが、読み終わった現在は、著者の主張どおり、T(トランスジェンダー)はLGBと分けて考えるべきとの立場に宗旨替えしました。