性的差別は「思いやり」では解決しない、「制度」が不可欠だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2811)】
ダイサギ(写真1)、コサギ(写真2)をカメラに収めました。ユキヤナギ(写真3)が黄葉しています。
閑話休題、『差別は思いやりでは解決しない――ジェンダーやLGBTQから考える』(神谷悠一著、集英社新書)は、性的差別は「思いやり」では解決しない、「制度」が不可欠だと主張しています。
「性的マイノリティ」を考察するに当たり、「ジェンダー」、「LGBTQ」や、「性的指向」、「性自認」がキーワードとなっています。
「『LGBTQ』は、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時に割り当てられた性別と性自認が異なる人)、クエスチョニング(自らの性のあり方などについて特定の枠に属さない人、分からない人、典型的な男性・女性ではないと感じる人)、クイア(規範的な性のあり方以外のジェンダーやセクシュアリティ)のアルファベットの頭文字を取った造語です。それぞれ違う、けれどもジェンダーやセクシュアリティといった『性』に関するマイノリティであり、似た課題を抱えているというところから、ともに連帯し、より社会的影響力を発揮しようとした際に、欧米圏で作られた造語が『LGBT』であると言われています。近年では、『L』『G』『B』『T』『Q』に当てはまらない、それ以外の性的マイノリティも加えて『LGBTQ+』などと表記されることがあります」。
「性的指向=恋愛や性的関心がどの対象の性別に向くか向かないかを示す概念。性自認=自分の性別をどのように認識しているかを示す概念」。
「『思いやり』は、個々人の『気に入る』『気に入らない』といった恣意性に左右されやすいものであり、不具合が起きてしまうものです。思いやりも人それぞれ、ということになると、そこで保障されることも人それぞれでしょう。そんな普遍性のないものを『人権』と呼べるのでしょうか。また、間接差別のような一見して分かりにくい差別に対しても、『思いやり』は是正に力を発揮できないのではないでしょうか。そう考えると、『思いやり』って一体何なのだろうと思ってしまいますが、少なくとも『思いやり』だけではなく、制度『も』不可欠ではないかと思うのです」。