榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本書を読んだら、『明鏡国語辞典』の第3版を購入せずに済ますわけにはいかなくなってしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2296)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年7月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2296)

ミンミンゼミの雄(写真1~3)、アブラゼミの雌(写真4)、ニイニイゼミの雄(写真5~7)をカメラに収めました。羽化して、そう時間が経っていないと思われるニイニイゼミたち(写真8~10)が群れている珍しい場面に遭遇しました。ミンミンゼミの抜け殻(写真11、12)を見つけました。左向きがミンミンゼミの抜け殻、右向きはアブラゼミたちの抜け殻(写真13)です。今季初めて、ノシメトンボの雌あるいは未成熟の雄(写真15)に出会いました。

閑話休題、『比べて愉しい国語辞書――ディープな読み方』(ながさわ著、河出書房新社)は、根っからの国語辞書好きの手になる詳細な国語辞典比較論です。

対象は、中型の広辞苑、大辞林、大辞泉、精選版日本国語大辞典、小型の新選国語辞典、旺文社国語辞典、三省堂国語辞典、岩波国語辞典、新明解国語辞典、現代国語例解辞典、三省堂現代新国語辞典、集英社国語辞典、学研現代新国語辞典、角川必携国語辞典、明鏡国語辞典、中学生向きの例解新国語辞典の16辞書です。

著者は、国語辞書は「一長一短」ではなく、「一長一長」だという哲学を持ち、比較検討に当たっては公平を期しています。

私も、かなりの国語辞書好きで、64年間に亘り、いろいろな辞書を使用してきたが、現在、手許に置き、頻繁に引いているのは、明鏡国語辞典と岩波国語辞典です。先ず、明鏡で調べ、同じ語句を岩波で確認するという手順で利用しています。

著者は、「『岩波国語辞典』は他の辞書と比べて語義の数が少ない傾向にあります。これは、語の基本的な意味を解明しようとした結果なのですね。・・・こんどは、『岩波国語辞典』とは対照的に、語義を細かく分けがちな『明鏡国語辞典』を引いてみます」と述べています。私が明鏡と岩波を併用しているのも、この理由に拠ります。もう一つ、私の敬愛する井上ひさしが岩波国語辞典を愛用していたということも影響しています。

「もっと辞書が引きたくなる! 『改訂版』深掘りレビュー」の章を読んで、びっくりしました。「2020年末から2021年の初めにかけて、多数の辞書の改訂版が刊行されました。小型辞書界のビッグネームである『新明解国語辞典』と『明鏡国語辞典』、そして中学生をメインターゲットとした『学研現代標準国語辞典』『旺文社標準国語辞典』『例解新国保辞典』の5冊です。・・・『明鏡国語辞典』の初版は2002年に刊行されました。ベースとなった親辞書が明確には存在しない、一から編纂された国語辞典としては最後発です。2010年の第2版を経て、今回の第3版はおよそ10年ぶりの改訂となります。・・・誤用に注意をうながし、引き直しの手間を省かせ、引きにくいことばもフォローする――と、随所に読者への親切心が行き渡った秀逸な辞書だと改めて感じました」とあるではありませんか。

私は、明鏡の初版第1刷、第2版第1刷と使ってきて、第2版第1刷がボロボロになってしまったので、2019年4月、第2版第9刷に買い替えたのだが、今回、著者の「『明鏡国語辞典』のサービス精神に思わす感動!」と銘打たれた詳細な説明を読んでしまった以上、第3版を購入せずに済ますわけにはいかなくなってしまいました!