大きくリニューアルした『名鏡国語辞典(第3版)』にメロメロ・・・【続・独りよがりの読書論(54)】
国語辞典は、私にとって、女房に次ぐ大切なパートナーである。
原稿を推敲するときだけでなく、日に数十回は手許の国語辞典を引いている。これまでは、先ず『明鏡国語辞典(第2版)』(大修館書店)を引き、次いで、念を入れて、『岩波国語辞典(第7版)』(岩波書店)で確認するということを習慣としてきた。井上ひさしが高く評価した『岩波国語辞典』との付き合いは、第5版、第6版、第7版と3代に亘り、『名鏡国語辞典』は、第1版、第2版と愛用してきたのである。
2021年1月に、大きくリニューアルしたという『名鏡国語辞典(第3版)』(大修館書店)を購入した。それ以降、『名鏡国語辞典(第3版)』と『岩波国語辞典(第7版)』のコンビに変更して10カ月が経過したが、今や、『名鏡国語辞典(第3版)』にメロメロである。
これほど私がメロメロになっているのには、理由がある。それが10もあるのだ。
①紙面デザインが一新されて2色刷りになり、知りたいことが探し易くなった。重要語は仕切りが設けられ、意味の近いもの同士がまとめて並べられている。新語には[新]のマークが表示されるようになった。
②誤用と正しい使い方について、新しい項目が追加され、解説の一層の充実が図られている。
③新しく[品格]欄が設けられ、改まった場面で使える言葉が用例を添えて列挙されている。
④[書き分け]欄が新説された。例えば、「開く・空く・明く」など、どういう意味のときにどの漢字を使うか、同音異義の漢字について解説されている。
⑤[読み分け]欄が新説された。例えば、「注ぐ(つぐ・そそぐ)」、「帰す(かえす・きす)」など、同じ漢字で意味が似ているものや、読み間違えそうなものの読み分けが示されている。
⑥コラム「ことば比べ」が新設された。例えば、「釜(かま)」、「窯(かま)」、「竈(かまど)」など、日本文化に関わる言葉が比較して解説されている。
⑦コラム「ことば探究」が新設された。例えば、「いぶかる」、「かつて」、「すこぶる」など、文学作品でよく見られる言葉の使い方が解説されている。
⑧最新の言葉、例えば、「SDGs」、「食品ロス」など時代を反映する語や、「サブスク」、「キャッシュレス」、「睡眠負債」といった生活に密着した語、「エモい」、「いけボ」、「ほぼほぼ」などの新語を始め、各方面に亘る語、約3500語が増補されている。
⑨巻末付録に「伝えるためのことば」が新説され、敬語、接続詞、挨拶の言葉、手紙の書き方、季節の言葉がまとめられている。
⑩索引が、誤用、気になる言葉の使い方、品格語、どこを引いたらよいか分からない言葉等々から引ける「名鏡 利活用索引」、アルファベットから引ける「アルファベット索引」、読み方が難しい漢字の画数から引ける「難読語索引」の3種類構成とされている。
これほどの大幅なリニューアルは珍しいと言えようが、我々使用者は大歓迎である。
戻る | 「第11章 文章の奥深さ」一覧 | トップページ