榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

世界文学50作品の一節を摘まみ食いしてみよう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2392)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月4日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2392)

さまざまな色合いのバラが咲き競っています。

閑話休題、『世界文学の名作を「最短」で読む――日本語と英語で味わう50作』(栩木伸明著、筑摩選書)は、独特な工夫がなされています。

著者が選んだ世界文学50作品のそれぞれについて、その一節が英語と日本語で見開き2ページに並んで示され、それに2ページの解説が続くという形で構成されています。

その解説のタイトルが、いずれも刺激的なのです。例えば、ホメロスの『オデュッセイア』は「ずる賢さが身を助ける」、ウィリアム・シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』は「演説は知よりも情に訴える」、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの『ファウスト』は「人生最高の瞬間が体験できれば、死後の魂などいらない」、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』は「ユーモアは愛から湧き出す」、シャルル・ボードレールの『異国の香り』は「匂いをことばが追いかける」、袁枚の『ふとしたときに』は「真実を語るために嘘をつくひと」、ゾラ・ニール・ハーストンの『彼らの目は神を見ていた』は「ものごとはやってみなくちゃわからない」、ジョージ・オーウェルの『1984年』は「まっ赤な嘘を真実にする方法」――といった具合です。

英語の勉強にもなる一冊です。