榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

鏡・鉄鏃・絹・勾玉の4つについてのデータにベイズの統計学を適用した結果、邪馬台国が福岡県にあった確率=99.8%、奈良県にあった確率0.0%・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2423)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2423)

ジョウビタキの雌(写真1)、スズメ(写真2)をカメラに収めました。カキ(写真3~5)、ウンシュウミカン(写真6)、パパイア(写真7)、ムベ(写真8、9)、マユミ(写真10)、センリョウ(写真11)、キノミセンリョウ(写真12)が実を付けています。大きなイチョウの木の脇で、1m70cmほどのイチョウ(写真13)の木も頑張っています。

閑話休題、『データサイエンスが解く邪馬台国――北部九州説はゆるがない』(安本美典著、朝日新書)の力強い説得力に圧倒されました。ここまで科学的・論理的な証明を前にして、邪馬台国畿内説論者は、どう反論するのでしょうか。私のような邪馬台国北部九州説支持者にとっては、何とも小気味よい、痛快な一冊です。

著者の主張を私なりに整理すると、こうなります。

●最近、近畿で長年考古学研究に携わってきた研究者が、相次いで、邪馬台国は畿内ではあり得ないと発表している(坂靖、関川尚功、佐古和枝、小澤毅、入倉徳裕など)。

●畿内の纒向の地に100m以上もの巨大古墳が、邪馬台国時代の次の古墳時代に入って、突如、築造されたのは、大和の地に別の地域の人々が入って来たからだ。

●魏志倭人伝に記されている倭人の武器の矛や鉄鏃について、畿内では矛は出土せず、畿内の鉄器の出土総数は、北部九州や山陰の一遺跡の出土数にも及ばないほど貧弱である。

●近畿地方では、邪馬台国畿内説が遺跡調査の大前提になっているために、遺物の解釈が非常に短絡的になってきている。

そして、極めつけは、この驚くべき指摘です。
●鏡・鉄鏃・絹・勾玉の4つについてのデータにベイズの統計学を適用した結果は
▶邪馬台国が福岡県にあった確率=99.8%
▶邪馬台国が佐賀県にあった確率=0.2%
▶邪馬台国が奈良県にあった確率=0.0%
と、福岡県が奈良県を圧倒している。

さらに、魏が卑弥呼に与えたとされる三角縁神獣鏡の問題にも、実に明快な答えが示されています。
●三角縁神獣鏡は、中国で作られたものではなく、中国の工人が日本にやって来て、日本で作ったものである。
●三角縁神獣鏡は、葬式に使った葬具で、ヤマト政権が配下の豪族の死に当たって葬具として分け与えたものである。
●三角縁神獣鏡は、魏に敵対する呉の国の領域の銅を用いて作られており、卑弥呼時代よりも後の時代に作製されたものである。

安本美典が凄い人物であることは以前から知っていたが、今回、本書を読んで、改めて脱帽。